講談社文庫<br> 花園の迷宮

講談社文庫
花園の迷宮

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  • サイズ 文庫判/ページ数 354p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784061844872
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

横浜の遊廓に、2人の少女が売られて来た。飢えと不景気の昭和初期、歓楽の町に投げこまれた2人を、死と、恐るべき秘密が待っていた。娼家を次々と襲う殺人事件、人間の欲望の凄まじさ、少女のけなげさが、巧みな展開と伏線、意表をつく結末で余すところなく描かれる、江戸川乱歩賞受賞の傑作推理長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

🐾Yoko Omoto🐾

141
望まぬ身売りも家族の為には当然のこととされた昭和初期。貧しい片田舎で育った二人の少女が横浜の遊郭に売られ、そこで不気味な連続不審死に巻き込まれていくサスペンスミステリ。謎の多さで推理ものとしての面白さを満たしながら、日増しに濃くなる戦争の影、不景気と貧困が蔓延する世相、そんな背景を遊郭という特殊な舞台に絡める事で、不穏当な時代の悲劇をより浮き彫りにする物語に仕上がっている。貧しさから抜け出したいという欲は決して悪ではない。結局のところ、全ての元凶は戦争ではないかと強く感じずにいられなかった。➡(続)2019/09/20

ちょろこ

108
古き良きミステリ、の一冊。時は昭和七年、舞台は横浜の遊郭。その遊郭でおきた親友の突然の死。そこから始まる連続不審死事件。もしやこの遊郭に全てを繋ぐ秘密があるのか…。文句なしに面白かった。この時代が醸し出す雰囲気にとっぷり酔いしれ、最後の最後まであきることなく惹きつけられる展開だった。後半、パタパタと寸分の狂いもなく綺麗に折りたたまれながら全てが回収されていくような感覚は気持ち良かったな。これは古き良きミステリ、という言葉がしっくりくる。シンプルかつ驚きもある完成度の高いミステリ、久々の満足感。2019/08/23

たか

65
第32回乱歩賞受賞作。 昭和7年、飢えと不景気のため、若狭から2人の少女が横浜の遊郭に売られて来た。しかし、娼妓として働き始めた美津は、客を刺殺し服毒自殺を図ってしまう。 娼妓としての年齢が足らず下働きをしていたふみは、美津の無実を晴らすべく一人捜査を行う。 次々と娼家を襲う殺人事件、人間の欲望の凄まじさ…。 ミステリとしての完成度やテンポの良さもさることながら、風俗や人物の描写が素晴らしい! 悲しい結末ではあるが、ラストのふみの決意が清々しい余韻を残す。 長い乱歩賞の歴史の中でも一番好きな作品だ。A評価2019/08/10

瑪瑙(サードニックス)

52
若い頃読んだ本を無性に読み返したくなりひっぱり出してきました。話の流れや犯人をすっかり忘れていたのですが、読み進むうちにだんだんあらまし思いだしました。でも、今読んでみても決して色褪せない面白いお話でした。なんといっても主人公のふみが良いです。少々無鉄砲な所がありますが、しなやかな感性と鋭い観察力で真相に迫って行くところが良かったです。引き続き山崎さんの作品を読んでいこうと思います。2016/02/24

goro@the_booby

48
横浜の妓楼に売られた美津とふみ。店に上がった美津は客を殺して服毒自殺してしまうのだが、自殺だなんて信じられないとふみは真相を探ってゆく。昭和初期の戦争に向かう世相と謎に包まれる妓楼で次々と人が死んでゆく。江戸川乱歩賞全集のひとつで初めて山崎洋子読みましたが、ふみの逞しさが良い。ラストも前向きで好きです。2025/01/11

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