出版社内容情報
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
1128
トリック、ロジックもさることながら本書の魅力はそれだけに留まらず、やはりなんといっても加賀と沙都子を中心にした学生グループ全員が織成す青春群像劇にある。東野氏特有の青臭さ、ペシミズム、シニシズムが絶妙に溶け合っており、とても心に響く。熱くも無く、かといってクールすぎず、一人前を気取りながらも、あくまで大人ではない、大人には適わないと知りながらも斜に構えていたあの頃を思い出させてくれた。よく考えると第1の殺人が密室殺人、第2の殺人が衆人環視の中の毒殺とデビュー作の『放課後』と全く同じだ。2009/10/28
ヴェネツィア
972
本書は東野圭吾が千宗室の『七事式』に出会い(あるいは、それを見つけ出し)、熟読したことにあるだろう。「花月札」のトリックは数学的な整合性もあり、実によくできている。ただ、そうであるがゆえに、このトリックが物語全体の主役を背負ってしまったことは否めない。もちろん、他にも密室や動機といった要素も絡んでおり、著者の周到さは念が入っている。動機の複雑さ(特に復讐の動機)は「花月札」のトリックを強化はするが、無理を抱えるという諸刃の剣でもあった。なお、物語は後半になるほどに、登場人物たちの造形 も際立ってくる。2021/02/02
Kircheis
965
★★★★☆ 加賀恭一郎が初登場を果たす作品。 卒業を間近に控えた大学生達が主人公で、単なるミステリーではなく、青春物としてなかなかの良作。特に登場人物達が部活に励む姿は本当に良く描写されていて、あだち充のスポーツ漫画と通じる所がある気がする。 ただ雪月花という茶道の儀式に絡んだ殺人は結構穴があり(というか、普通に先生にはバレてたし)なんで成功したのかが不思議なくらいだ。 作品中でとことんいい奴だった『若生勇』がベストキャラかな。2019/01/11
遥かなる想い
748
加賀恭一郎が登場する最初の一冊。「卒業」をひかえた大学生7人の心情をよく描いている。 自分たちの仲間を疑いたくない・でも仲間のことは何一つ実は知らないという気持ちがよく書き込まれた青春小説である。2010/05/05
再び読書
692
流石に東野氏の作品ではあるが、初期の作品っぽい固さと粗さが見え隠れする。終盤まで明かされない動機に少しイライラ感が募る。これからの加賀恭一郎に期待します。2013/02/07