内容説明
注目の“椿姫”が大学オペラ練習中に毒死し、実在の“椿姫”を描いたマリー・デュプレシ像贋作事件が23年ぶりに浮上する。鍵を握る画家は日本画学生守泉音彦と気まぐれプリマ鮎村尋深の目前で息絶え、第二の“椿姫”も公演初日に斃れた。そして、第三の“椿姫”尋深が死を仕掛けられた舞台に上がる―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeapple
11
ブックオフで108円で購入。いつものごとく森雅裕の作風にやられ一気読み。この面白いミステリー作家、暫く新刊を見かけずにTwitterで流れていた死亡説をうっかり信じてしまったけれど、どっこいお元気だったようで何よりです。しかし森さん、うそを教えてしまった我が娘よすまない。森雅裕という作家、あまりにもタブーを無視するから文壇や出版業界から抹殺されていただけなんだそうだ。このお話、オペラや絵画が背景の中で出てくるけれど、そういった知識がなくても勿論楽しめる。時代背景が自分の学生時代と被るのも嬉しい。2015/05/31
はるく
6
森雅裕の描くキャラに憧れてましたね。時が経ち、登場人物の年齢を追い越してからも20年以上ですか。森雅裕の紡ぐ物語に、今も浸りたくなるのです。そんな読書の秋。2024/10/12
紫
4
1986年発表、1989年文庫化の昭和の学園ミステリであります。登場人物たちの描写は軽妙かつエキセントリックで、キャラクター小説のハシリといった一冊。著者が芸大出身だけに戯画化されつつもがっつい濃い、音楽+絵画のどろどろの芸術の世界。タッチはライトなのですが、錯綜したプロットもあって、その方面に関心が薄いとけっこう息切れしてしまいます。ところで、カバー裏とオビのあらすじなのですが、ほとんど終盤の展開までネタバレ! 某脇役について「この娘、後で殺されるのか…」と気の毒になりながら読んでいました。星4つ。2016/08/20
だまん
4
ひさしぶりに読みなおした。なかなかドラマティックなんですが、いま読むと、語り口が照れすぎなだなと感じた。この口調にむかしは萌えたのですが。2009/06/14
都布子
3
芸大を舞台に友達以上恋人未満の音彦&尋深のコンビが巻き込まれる殺人事件。オペラ「椿姫」と一枚の名画が織り成す、アートなミステリーです。この作品はキャラクターの勝ちって感じですよね。どこか人間関係がうまい具合につながり過ぎのきらいはちょっとあるかな。あ、文庫版の表紙イラストは江口寿史氏なんだよ~。