内容説明
作家誕生の記録ともいうべき鮮烈なドキュメント。戦後早々、第1回カトリック留学生としてフランスに渡った著者は、リヨンの学生寮の屋根裏部屋に落着く。対独協力者の虐殺現場を訪ね、娘を殺害したイボンヌ裁判を傍聴するなど、異郷にあって人間の罪と悪を考察し、青春の孤独を真率に記述した感動の記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akira
28
古本にて。 遠藤周作氏の20代の頃のパリ留学期の日記。「まだ何者でもなかった」とあるように、当時は雑誌に批評を投稿する文筆家の駆け出しだった。若いながらも病と戦い、心に拭えない矛盾を持ちながらも学びを貫こうという姿勢がそこにはある。 時代の混沌の中いかに生きるのか。この時代に青年期を送った作家さんの日記はいくつも読んできたが、例外なく書に没頭し思索に時間を費やしている。感じるものが多い一冊だった。 「この仁川での勉強は実に烈しいものであったと思う」2021/09/15
i-miya
1
モーリアックコロンボ シンガポール 不潔の点 6/28(水)ジプチ アフリカ アジスアベバ行き鉄道 ランボーがここから乗った 7/1(土)スエズ着 北朝鮮は南に侵入した 7/3(月) イタリアの南クレタ島を右回り マルセイユ リヨン 7/8(土) パリに着いた ジャンヌ・ダルクの塔 ソルボンヌ文科大学 王党派 7/13(木) 実存主義を話す モーリアックのパスカル論 ルアンからの道 ノルマンディーの風景 シャルトルの大伽藍 オルレアンから徒歩の学生たち ロワール河 フォンテーヌブローの森2008/04/28
いわさんたろう
0
まだ若かった遠藤周作の産みの苦しみがよくわかる。2007/06/28