内容説明
校内の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。先生を二人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女・剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将―犯人候補は続々登場する。そして、運動会の仮装行列で第二の殺人が…。乱歩賞受賞の青春推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
783
第31回(1985年)江戸川乱歩賞受賞作にして著者のデビュー作。いい意味で若々しい感じに満ちているし、また着想も斬新である。動機とも絡めて、女子高に設定したことが、作品に最大の成功をもたらしたようだ。トリックは良くも悪くも凝りに凝っている。また、妻の裕美子との関係も作品に幅をもたらしているだろう。乱歩賞の選考基準は知らないのだが、おそらくは従来にないような設定、アイディアが最も評価されるのではないかと思う。その意味では十分に要件を満たしているのだが、後の作品に比べると欠陥もまた多いのは事実。2021/07/11
Tetchy
596
第1作にはその作者の全てが盛り込まれているというが、この瑞々しさや感傷的な文体は単に女子高を舞台にしただけに留まらず、この作者の特色と云えるだろう。一読しての印象は、非常にバランスの取れた作品だという事。実に無駄がなく、力みすぎず、落ち着いており、淡々としているのだが、色々なエピソードが散りばめられていて飽きさせない。また教師でない私がもはや二度と体験できない高校時代の空気を十二分に堪能させてくれた。とまあ、賞賛の言葉ばかりだが、やはり今の時代ではちょっと古めかしさを感じずにはいられない。2009/10/27
Kircheis
543
★★★★☆ 東野圭吾のデビュー作で、氏の魅力と言える本格謎解きと青春ドラマ的な要素がうまくミックスされた良作。 連続殺人にいたる動機は『え~!?』て感じだけど、読んでからだいぶ時間経ってもまだ頭に残ってるあたりありかな。 ラストシーンはドロドロでありきたりの展開だが、こういう定番なエンディングも好きだった。2019/01/10
ehirano1
471
なんともイタタマレナイ話で悲しくもあると同時に因果応報なんだなぁとシンミリしました。トリック云々もそうですが、やはりさり気ない伏線の置き方がハンパないので読中全く気が抜けませんでした。その意味ではたいそう疲れさせられましたが、悪い疲れではありませんでした。2022/02/18
ちょこまーぶる
446
面白かったです。東野圭吾さんのデビュー作だったんですね。そうとは全く知らずに読んで、引きづり込まれましたから構成力と文章力が素晴らしいんでしょうね。何となく苦手意識があったというか、読まず嫌いだったような気がしていたんですが考え方を変えねばならなくなりました。ただ、刑事が捜査情報を公開し過ぎているように思える面もあり、テレビドラマを見ているようにも思えてしまった感はあるな。そして、最期に悲しい結末があるわけだが「長い放課後になりそうだ」という一文で終わっていて、これからどうなる?と気になってしょうがない。2014/01/17