内容説明
山猫・弓削一徳の動くところたちまち血しぶきがあがる。だがそこに陰湿感はない。彼の撃つ弾丸はむしろ爽快にはじけるのだ。その出自は、いかなる危険もものともしないその強靱な信念の背景は、いったいなんなのか?波乱万丈の物語は、いよいよ佳境に入って刺戟の度を倍加する。―日本の冒険小説に新風を吹きこんだ野心的大作。吉川英治文学新人賞・日本冒険小説協会大賞同時受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Urso
14
爽快!爽快!というわけにはいかないくらい殺しあいが多い…けど、最後になぜ山猫がこんな行動を起こしたのかを知ったとき「はあぁぁ~。」という気分になった。山猫、カッコいいわ。2017/08/19
eihuji
7
積本歴30年の大物。上下二巻8月頃読了。アウトローのヒーロー物は文句なく面白い。読まないまま一生を終えるのだろうと諦めていた本を読み終えた。それがなにより嬉しい。そんな本がまだ400冊ほどあるのだが気にしない。 2019/12/09
fff
3
船戸与一版『血の収穫』。これは紛うことなきノワールだと思っていたら、最後の最後で山猫の正体が明かされ、本作をノワールと呼ぶべきかどうか判断が揺らぐ。船戸与一はあくまでも冒険作家なのか。2015/11/15
寝
3
カロリーナを連れ戻し、いよいよ物語は佳境へ。下巻は山猫が虎視眈々と獲物を睨んでいるような印象が強かったのですが、ラストの決闘シーンではとてもテンションが上がりました。山猫の凄まじい生き様に一秒も目が話せません。最後の最後まで体中の水分を全て搾り取られてしまいました……ブラジルが暑いからじゃないよな。 2014/03/11
dellasera
3
町は一人の男の目論見にからめとられて、争いの火の中へ。山猫の思惑通りにことが運び痛快である。この本にはマーイ・マリアをはじめ、守銭奴がわんさか登場し、彼らについては本気でムカムカした。あと、人が死にすぎである。ここまで大風呂敷を広げてしまったら、全員を殺して収束させるのもやむをえない気もするが。個人的には山猫に生き残って欲しかった。2011/02/13