内容説明
東京から特急で2時間ほどの山中に山科警部の親威がオープンしたばかりのペンションに幽霊が出没、客足もすっかり途絶えているという。霊能者を装った伊集院大介が乗り込んだ翌日、雪で孤立したペンションに謎の殺人事件が!山科警部を相手に、ご存じ名探偵・伊集院大介の推理が冴える傑作7編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
65
〔再読〕伊集院大介シリーズ短編集第1弾。名作「絃の聖域」で探偵デビューした大介も、本作のなかで探偵事務所を開き、本業として働き出します。時期としては、「猫目石」の事件の少し前になる。基本的に山科警部補が、大介に事件を持ち込む形であるのだが、これが妙に読みやすい。どの作品も軽妙かつ、どちらかと言えば殺人が起こっているのに明るい。物語の最後が大介の言葉で締めており、要点を表す一言というパターンは何とも愉しい。この頃の作品は、小粒でもしっかりと謎解きが出来る上に、皮肉の効いた結末がたいへん良い味を出している。2016/11/10
カナン
42
伊集院大介シリーズの短編集。小粒ながらもラストに必ずぴりりとした程良い刺激が効いている七つのミステリー。特に「獅子は死んだ」と「鬼の居ぬ間の殺人」が一際ばっさりと容赦のないオチがついていて好き。凄惨な事件が起こっている中で何処か飄々と佇んでいる、いつまで経っても純朴な青年のようであり続ける伊集院の人間味が非常に快い。台詞もいちいち小気味よい。解説にある「無色透明さ」という言葉が一番しっくりとくる。一見頼りなげで危なっかしい振る舞いを見せながら、決してぶれるということがない、大層魅力的な名探偵だと思います。2019/05/27
たか
39
伊集院大介シリーズの初短編集。基本的に、山科警部補が伊集院大介の探偵事務所に事件を持ち込む形で始まるのだが、どの作品も伊集院の人柄がよく出ており、温かみのある良作ぞろいとなっている。C評価2017/12/20
佐島楓
21
七編の短編集。伊集院のキャラのおかげで、そこだけ見ると陰惨な事件もユーモアのオブラートに包まれ、苦痛なく読める。短編ながら最後にどんでん返しが用意してあるところもミステリファンにはたまらない。面白かったです。2013/12/09
こかち
13
短編集でした。どれも、伊集院大介のほのぼのとした魅力を楽しめました。思わず頬がゆるむ。彼の「そんな気がする」という推理は、かなり確度を落とした蓋然性の話のような気もするけど、丸め込まれてもいいです。キャラで許せる!2016/09/12