出版社内容情報
【内容紹介】
日曜日の朝、柔らかな陽に包まれたニューヨーク五番街を散歩する夫婦。久し振りに2人だけの時間を過ごそうと妻はあれこれと計画するが、街を行く若い女性に対する夫の目が気になって……(表題作)。軽妙な夫婦の会話を軸に、男と女の機微を描く洒落た都会小説のエッセンスと10篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
85
ニューヨークを舞台にしたお洒落で叙情的な10篇の物語。学生スポーツのヒーローは卒業すると只の大人になり、成功の階段を昇っていく妻を苦い思いで見つめるようになる(『80ヤード独走』)。美しい妻と一緒の時も他の女性を眺めずにいられない夫。街を闊歩する『夏服を着た女たち』が眩しすぎるから(表題作)。恋を捨て女優の道を目指した女性は、夢破れて別れた男性と最後の逢瀬をする。誰にも言わなかった真相を語り始める(『愁いを含んで、ほのかに甘く』)。常盤新平氏の訳で初出は1979年。和田誠氏の装丁の文庫本は1984年初版。2015/10/18
metoo
56
気持ちの良い日曜の朝、NY五番街、マイクルとフランセス夫婦が身を寄せて歩く。夫マイクルはすれ違う女に目が離せない。妻フランセス曰く「首の骨が折れるほど」振り返る。すれ違った女を見つめる眼つきが、私をはじめて見たときの眼と同じだと妻は感じ、厭な気持ちになっていく。私もこんな男を知っている。こういう男を一人の女に縛り付けておく事など無理なのだ。今ならそれもわかる。この「夏服を着た女たち」の他、短編が9編。どれも洗練された都会の心模様。2015/12/16
duzzmundo
11
何十年かぶりの再読。久々に読みましたがよかったです。また若い時とは違う感慨を持ちました。「80ヤード独走」などは、20代に読んだときより、いま読んだ方がしっくりくるというか、心境がわかるというか。やはり本というものは定期的に読み返した方がいいのかもしれません。ついでにいうと、新訳も定期的にやってくれるといいですね。どうしてもセリフの感じ古くなるので。翻訳本が売れないから、なかなか新訳も難しいのだとは思いますが。いつか新訳でまた読みたい気もします。2024/10/11
えみりん☆
10
お洒落な都会に住む夫婦や恋人の機微な会話が描かれた作品。どことなく漂うけだるさややるせなさにアメリカ的なものを感じます。「夏服を着た女たち」男の本性なのだろうと思わずにはいられない。2014/07/24
まさにい
9
この小説を始めて読んだのは20代の頃だった。しゃれた会話に心が踊らされた記憶がある。何故か最近またこの本を読みたくなった。20代の頃とは違う印象を持ったのは、これまでの人生経験からか。とても懐かしい記憶を甦らせてくれ、しばしば物思いに耽た。うん、後姿を眩しく見ていた人がいたのだよなぁ……。2019/12/14