内容説明
九世紀、天台僧が唐から持ち帰ろうとした秘法とは。助手の徐彬を連れて石動戯作が調査に行った寺には、顔の削り取られた奇妙な本尊が。指紋ひとつ残されていない部屋で発見された身元不明の死体と黒い数珠。事件はあっという間に石動を巻き込んで恐るべき終局へ。ついにミステリは究極の名探偵を現出せしめた。
著者等紹介
殊能将之[シュノウマサユキ]
1964年福井県生まれ。名古屋大学理学部中退。著書に『ハサミ男』、『美濃牛』(いずれも講談社ノベルス)
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感想・レビュー
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W-G
63
BOOK・OFFでまとめ買い。これは再読です。ハサミ男と美濃牛がかなり面白かっただけに、え?と度肝を抜かれました。でもなんだか印象に残る作品です。ラスト2行が個人的にツボです。2016/02/28
オーウェン
56
名探偵石動の2作目は宝探しの依頼という一風変わったはじまり。 そして別の場所で起きた殺人事件。 両者は次第にリンクはしていくが、意外な事実が中盤辺りで明かされる。 石動の推理は今作でもしっかりと機能しているが、問題はそのあとの後日談的処理。 ミステリとしては反則な手段であるが、これはほとんどSFの領域になりそうな領分。 2作目にして助手のアントニオの素性が明かされるし、ホークスの小ネタがやたらと多いのも面白い。2024/01/15
ばりぼー
44
十数年ぶりの再読。天台僧が唐から持ち帰った秘宝探しを依頼された探偵石動戯作が、指紋一つないアパートで見つかった身元不明死体の謎を解くアリバイ崩しもの。思わず脱力するカタストロフィを受け入れられるか否か、飲んで語り合いたい酒の肴本です(笑)。ホークス対ジャイアンツの日本シリーズに沸く福岡市民の熱狂ぶりは、本作のメインテーマの暗喩でしょう。野球音痴なため周囲から白い目でみられる中村警部補が、ジャンボ鶴田の死に涙し、「おまえはブルーザー・ブロディとの死闘を見てないのか!」と妻に怒鳴る場面がツボでした(笑)。2017/12/04
神太郎
33
これは、変化球過ぎた(笑)問題作だったり壁バン本(壁に本を叩きつけることらしい)と言われる所以だ。特殊ミステリというのではない。最早、彼らの手のひらの上では我々人間はどうしようもないのだ…。前作もどんな病もたちどころに治す奇跡の水を扱い(しかも効果あり)、どことなくオカルトな部分も許容する姿勢ではあったから多少何が来てもとは思ったが…。ガチもん来ちゃー(笑)。本作はやばいとは聞いてたけど、そういうことね。笑って済ませられる人とキレる人、そりゃ分かれる。2022/09/24
藤月はな(灯れ松明の火)
31
東海オフ会で石動シリーズの読み始めでこの作品をお勧めされたので読みました。最初はQEDシリーズばりの歴史ミステリーかと思いきやまさかのメタ且つ反則ギリギリ(むしろアウト?)展開。呆気に取られるしかありませんでした^^;しかも石動さん、シュリンガムみたいな迷探偵だな~(笑)最後の文章が「電氣人間の虞」の最後の一文を思い出しました。2012/03/27




