内容説明
全ては何の脈絡も無く唐突に始まった。過去の記憶を全て奪われ、見知らぬ部屋で覚醒した私と女。舞台は絶海の孤島。三人の惨殺死体。生存者は私と女、そして彼女を狙う正体不明の殺人鬼だけ…の筈だったのに。この島では私達が想像もつかない「何か」が起こっていたのだ。蘇る死者、嘲笑う生首、闊歩する異形の物ども。あらゆる因果関係から排除された世界―それを冷たく照覧する超越者の眼光。全ては全能の殺人鬼=「創造主」の膿んだ脳細胞から産まれた、歪んだ天地創造の奇跡だった。そして…「ここはどこなの」女が存在しない口唇で尋ねる。「分からない。でもここにはあいつの邪気がない。あいつの手の届かない世界らしい」存在しない口で私は答えた。「あいつはもう二度と現れないの」彼女の不安気な問いに、私が頷く。女は存在しない男の顔を怪訝そうに覗き込んだ。「結局、あなたは誰だったの」「君は一体、誰だったんだい」私は揶揄うように問い返した。そんな事はもうどうだっていいじゃないか。もう何も彼も終わったのだから。…だが、まだ終わったのではなかった。真犯人はそれを知っている。本当の終焉はこれからなのだ。第6回メフィスト賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カムイ
43
ウロボロスな小説!読後、なんだかな〜目眩がしてしまい何度も行ったり来たりした。実験的な作品なので時間軸巻き戻しで、(現在、過去、未来🎶)を思い出しページを閉じる時に口遊んだ、作者も(迷い道)のように出口を見つけられなかったのか?(笑)2021/05/03
miroku
25
小説における神のごとき存在というだけで、すでにネタバレのような気が・・・。メタである。もはやメタも目新しくはない。ただ、このやり過ぎ感が馬鹿馬鹿しくて良い。2015/01/07
koma-inu
22
1点 これは・・・・・・ 言えることは、作者の狂気のチャレンジ精神と、それを受け入れたメフィスト賞に、賞賛です。それ以上何もありません。2021/02/21
芍薬
21
私、読書してたと思ったんですけど、ジェットコースターに乗ってたのね?!的一冊。乗り物(読書)酔いがっ。なんだかやたら良いようにもて遊ばれた気がします。嫌いじゃないんですけどね。2014/12/24
hit4papa
18
絶海の孤島で繰り広げられる奇妙奇天烈な物語。起承転結の“結”から始まり、“起”へと巻き戻りながらストーリーは展開します。メタ・フィクションを逆手にとったような本作品は、大胆な意欲作?それとも奇をてらった一発芸?