内容説明
魑魅魍魎がまだ跳梁跋扈していた南北朝時代―。天皇親政を目論む後醍醐帝の側近には密教僧文観。実力をつけ台頭する武士の声に励まされる尊氏。天皇を父とも思慕する尊氏ではあるが、天皇は密教の秘儀を通した怨霊との交わりにおぼれていく。後醍醐帝vs.尊氏を怨霊で読む歴史ホラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumi Ka
1
直冬と時行の心情が見えたこと、確かに時代が被っている2人は会ったことがある可能性が高いということが面白かった。南北朝の動乱について簡潔にまとまっていて分かりやすかった。時行の年齢と謎のオカルトバトルはむむむ?だったけど、当時の世界観に入り込めるし読みやすいからやはり小説は良いなと思った。2021/08/02
紫
1
南北朝時代伝奇小説であります。全体の70%は、足利直冬・北条時行ら、どちらかといえばマイナー気味な、若い世代から見たこの時代といった感じでして、複雑怪奇なこの時代を簡潔かつ要領よくまとめ、時代に翻弄される武将たちの悲哀を描いております。ところが、終盤になって、後醍醐天皇と悪霊が突如結託し、物語はオカルトバトルに突入。それまでとの温度差がえらいことになってしまったおります。なお、あらすじを見るといかにも真言立川流の扱いが大きなように書かれていますが、本編では何ともトホホな扱い。星3つ。 2016/06/14