内容説明
「薄濃」―緒田信長が朝倉氏を滅した時、当主・義景の頭蓋骨を使用して作られた杯を呼ぶ。この薄濃を所持する美女が供養して欲しいと、名探偵・滝連太郎の実家の葬儀社に依頼した。だが、供養の当日、薄濃は消失し、女も失踪、遺体となって東尋坊で発見された。女が手にした落雁はダイイング・メッセージか。
感想・レビュー
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夜間飛行
72
髑髏を供養したいという依頼が葬儀社に持ち込まれた。無念の死を遂げた朝倉義景の薄濃(はくだみ=漆塗りの首級)らしい。依頼人は義景の愛妾・小少将の再来かという美女。それに端を発した東尋坊~東京での二重殺人事件を表とするなら、裏にあるのは、信長がなぜ浅井長政だけでなく義景の首をも薄濃にしたか、また小少将の悲恋の相手は誰かという歴史上の謎解きだ。合わせ鏡のような今と昔の謎を解くために、小将棋のルールと酔象駒の役割を使っていくのが面白い。トリックは単純に見えて周到な罠が仕掛けられている。山村正夫では一番好きな作品。2019/02/28
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