内容説明
人間は本来、空が飛べる生き物だと常々主張していた幻想画家が、4階にあるアトリエから奇声を残して忽然と消え失せた。そして4日目の早朝、黒い背広を着、胸をそらせ両手を左右に大きく展げた姿で、20メートルの高みにある電線上に死体となって出現したのだ。鳥人間VS御手洗。彼が踊るに相応しい事件だ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
16
こちらも良い短編集だった。「舞踏病」は『奇想、天を動かす』のミニチュア版のようだ。2015/02/13
りんご
13
短編集故にあまり壮大な事件はないが、安定して楽しめる推理小説。派手な物理トリックが印象的。巡り合わせの要素が強い事件が多く、御手洗の視野の広さと推理力がきらりと光っていた。サブキャラクターも空を飛ぶ話を信じる男やおかしな申し出をあっさり引き受ける男など変人が多い。それなのに一際異彩を放つ御手洗潔の存在感と奇行も見所。作品を通して、御手洗の唱える説や知識が古くなっていたことに、少しセンチメンタルな気持ちになった。2022/04/27
Taka
8
当然みたいな顔して解いているがこれはめちゃくちゃだあとなる滅茶ミス本。でもそれがいい。彼が踊るのに相応しい事件だ、裏筋がら最高に興奮する。山高帽のイカロス。GOMにかかれば被害者はビルの間の空中で死んでいるし、電車は右腕を散歩させているし、女社長は黒薔薇と狂人になる。鏡と紐とドラック。ある騎士の物語GOMにかかれば通勤経路がトリック道具に早変わり。ただ自作の乗り物は。。舞踏病。GOMにかかれば踊る老人大正時代謎の下宿浮浪者と酒盛り浅草歯医者老人福祉課薬漬けに対するアンチテーゼが繋がる。近況報告最高2021/07/18
じょんたん
7
短編集と、最後に石岡くんによって、御手洗潔氏の近況報告なるものが書かれている。感想は・・・昭和ですなぁ。いろいろと懐かしく読ませていただきました。2018/01/15
Ringo☆
4
御手洗潔シリーズの短編集。御手洗が謎解きをする3編と、石岡くんが御手洗との近況を語る書き下ろしの1編。謎解きする話はどれも面白かったけれど、個人的には『舞踏病』-浅草の食堂の二階に期間限定で下宿している老人が毎夜する奇妙な踊りの謎-が良かった。事件が解決した後、陣内屋で御手洗が石岡くんに語った、医療制度の矛盾の話も興味深かった。最後の『近況報告』は、最初は楽しく読んでいたんだけれど、御手洗の話がDNAの話に入ったあたりからは、完全に文系人間の私にはチンプンカンプン過ぎてツラかったです(苦笑)2015/03/02