内容説明
罪をバラされたくなかったら三千円寄付しなさい―。奇妙な脅迫状が連続殺人の発端だった。化粧品会社で発見された第一の犠牲者には、新製品の香水“ピンクのおもちゃネコ”がたっぷりふりかけられていた。第二の殺人は衆人環視の中、その香水の発表会で。奇怪な殺人劇と非情の企業を描く女流新人デビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
59
せつないような甘さのなかにクールな冷淡さが混じる初夏に咲くくちなしの花を想い起こさせる匂いだ。そんな香水「ピンクのおもちゃネコ」が掛けられた男性の全裸遺体(挿絵無修正、小さい)が会社で発見。それは三銃士扱いされる社員達へ寄付を促す脅迫状が送られた矢先の出来事で。昭和な話立てにかなりひねったある種の隠し玉。最初の遺体のまさかの真相もさることながら、第2の事件から探偵が犯人に気付いた理由がらしいというか。読み終えて著者のことばがしっくり来た。香りに誘われてると、落とし穴に行き着きますよ。父と隣の警部がいい味。2023/01/22
ブブミツ
1
「これ絶対タイトルでオチてるだろ」なんて思っていたら結構まじめにミステリしていて驚いた。被害者の死因は心臓麻痺、だが何故ナイフが刺さっていたのか?とか、何故死体に香水がふりかけられていたのか?など…。解決編も少しだけ凝られていたりして満足。意外な探偵役の意外(俗物)な「気付き」などもユニーク。ストーリー自体は「昭和のミステリ」なのに、根本的な部分は80年代後半~90年代前半の新本格的なのも興味深かったり(書かれたのは1989年です)2011/12/29
schizophonic
0
ピンクのおもちゃネコとは、作中に登場する香水のこと。タイトルと著者の経歴(マーケティング評論家だとか)からは想像がつかない佳作で、香水を振りかけられた死体の謎の答えが実にエレガント。ミステリのお約束を外したオチも気が利いてます。2012/03/01