出版社内容情報
【内容紹介】
太平洋戦争の末期、戦火にさらされた大阪の街で、すきっ腹をかかえながら好きな漫画の道にうちこむ1人の少年がいた……。表題作「紙の砦」他、巨匠手塚治虫が青春時代の思い出を綴った6編を収録して贈る自伝的作品集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
40
敗戦の日に紹介したい一冊。大阪にいた手塚の戦争体験がベース。表題作は別な本でレビューを書いた。WW2末期に空襲で死ぬ人々。オペラ歌手を目指した京子が不憫😭。「がちゃぼい一代記」はマンガの神が登場。「すきっ腹のブルース」は米兵の横暴と行き倒れのリアルさ。「トキワ荘物語」は聖地を擬人化。寺田や藤子、石ノ森が登場。「どついたれ」は未完。空襲に闇市、戦争孤児の現実。他にも「という手紙がきた」「動物つれづれ草」を収録。名言多数(後述)。2024/08/15
thee birdmen
31
kindleのセールで購入。久しぶりに手塚漫画を読んだけどやっぱり面白い。描画の細かさや緻密さなどため息ものです。戦中戦後の実体験をベースにしてあって、全編にわたってユーモアと戦争の悲惨さが同居した独特の雰囲気が漂っています。どんなに好きな漫画を描いても、それが人気になっても、念願だったアニメを作っても、またさらにそれが評価されても、どこか満たされない気持ちを抱えて生きている手塚自身の苦悩が詰まっている一冊。戦争を体験した人にはこういう虚無感のようなものが漂っている人が多い気がする。 2019/05/17
KAZUNARI
12
手塚先生の自伝的短編集。マンガとして大成功したものの、地獄のような戦時の中を生きて、マンガを描く!という夢を持っていた手塚さん。厳しく激しい取り締まり、外人との交流、女性との切ない出会い、何より空腹の辛さが胸に迫ってきた。あのトキワ荘からの視点で手塚さんらの姿を描いた1本や、ちょっと奇妙な狸との体験など綴った1本や、手塚先生に送られた謎の女性からの手紙・・!など、それぞれタッチや手法が多彩で笑えて楽しめるものもある。2018/11/04
栗 餡子
12
表題作が以前から読みたくて図書館のYAコーナーで借覧。戦中戦後の過酷な状況下とにかく「ひもじい」事が何より辛かったと感じました。またどんなに不自由な時も、描く衝動を抑えられないのがプロなんだと実感しました。2015/04/01
S.Mori
11
手塚先生の自伝的な短編が収められた作品集です。「トキワ荘物語」のように叙情的な小品や「という手紙が来た」のようにユーモラスな短編、戦後の食糧難を描く「すきっ腹のブルース」などバラエティに富んだ内容です。手塚先生の漫画を描きたいという純粋な情熱と、戦争の悲惨さの対照が鮮やかです。特に「紙の砦」に出てくる京子さんは忘れがたい印象を残します。彼女のように罪のない一般人が深く傷つけられるのが戦争です。戦争に対する強い怒りを心に秘めてペンを動かし続けた手塚治虫の作品は、日本の宝です。2019/06/04




