講談社学術文庫
流言・投書の太平洋戦争

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  • サイズ 文庫判/ページ数 331p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061596887
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0121

内容説明

戦時下、前線に赴く兵士を見送った家族が死守した銃後の本土日本。深刻な食糧不足や激化する空襲のなか、人々は何を考え、何を感じていたのか。厳しい言論統制を行い、国民の日常会話も監視した治安当局は、民衆の流言蜚語や不穏投書を克明に記録した。『特高月報』等のこれら治安史料と日記を駆使し、庶民の心情と実態に迫る異色の戦時下日本の歴史。

目次

序 加害と被害―記憶の十字交差を越えて
第1章 「開戦」と日本人
第2章 戦争の長期化
第3章 山本五十六の戦死
第4章 サイパン政変
第5章 空襲と戦意
第6章 焦土の中の民衆
第7章 玉音放送直後の国民の意識

著者等紹介

川島高峰[カワシマタカネ]
1963年、東京生まれ。明治大学大学院政治経済学研究科修了(政治学博士)。現在、明治大学情報コミュニケーション学部助教授。近代日本民衆思想史専攻
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感想・レビュー

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小鈴

13
この手の本は庶民の声をどのように掬い上げるかがキモになるが、市井の方々の日記だけではなく、特高や憲兵隊が取り締まっていた治安情報資料と米国が45年10~12月に実施した大規模なインタビュー調査報告書を利用していることに大きな価値がある。開戦から敗戦までの心の機微とその軌跡を追体験できる稀有な本だ。この軌跡を知って初めて私は彼らの気持ちを理解できた。「戦争認識をめぐる日本人の葛藤や相克とは、『聖戦か、侵略か』という戦争の客観的な性格付けから始まったのではない。それは、聖戦への忠誠か、聖断への忠誠かという極め2016/03/16

モリータ

11
著者の博士論文『敗戦前後における秩序意識の変容と形成ー天皇制ファシズムから天皇制デモクラシーへー』の前半部分を基に、太平洋戦争期の「日本民衆の精神史的考察を行った(原本あとがきより)」もの。憲兵や特高の治安資料(タイトルにある「流言・投書」類)に見る人々の声だけでなく、政府の世論指導方針や、様々な人の日記、アメリカ戦略爆撃調査団が戦後行った調査等を材料にしている。私は「流言・投書」そのものの生々しさ、荒唐無稽さに触れること、ないしデマ研究といったものを期待して読んだので、そういう意味では物足りなかった。2017/08/30

駒場

6
庶民の日記、新聞、当時流言として特高が記録した言説などをもとに太平洋戦争下の暮らしや与論統制の様子をほぼ時系列で描いた真面目な本だが、お、おもしろ~~~!?「庶民は自制してるのにお偉いさんは店の"顔"で宴会してる」「民草が動揺しているから与論を統制します!(=特に補償等はないが精神論を強化します!)」すごい既視感あるんですけど……この道~は~いつかきた道~……天皇を頂点とするゴリゴリ家父長制国家が、戦争の徴兵(戦死)や疎開で家族制度をぶっ壊してる指摘とかそれそれ~過ぎる2021/08/20

富士さん

5
再読。何々のためという擬態をとることがどれだけ甘美な幻想か、それを口の端で語るやつらの振る舞いがどれだけ醜いかという、どこでも通用する真理が、敗戦へ向かう総力戦という状況の中で典型的に表れているのが見事に表現されている名著です。危機に際してブツブツ文句は言っても、自分がやるのは嫌、どうせどうにもならないと行動では語っている、そんな今に至るまで続く謙譲の美徳にあふれた日本的精神の発露を見るにつけ、今の日本人が劣化したわけではないのだと心を強くする次第です。日本人としての誇りを取り戻せるでしょう、きっと。2018/07/30

星辺気楽

3
流言や投書と言った庶民に身近な事柄から読み解く太平洋戦争史。「特高月報」には意外に厭戦的な文書があったのにはほっとしたが逆に小さな子どもたちが最右翼な状態であったことにはぞっとした。現代にも共通する点である。2014/06/05

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