内容説明
倭王武にはじまり、仏教伝来と聖徳太子の登場、大化の改新を経て白村江の戦い、壬申の乱と続いた動乱の時代。中国・朝鮮と濃密な関係にあった日本は、東アジア世界の激動の中、文化の飛躍的発展を背景に古代天皇制を確立し、統一国家への歩みを進めた。『日本書紀』など史料の精緻な分析により、史学界の泰斗が六~七世紀の日本の姿を鮮やかに描き出す。
目次
古代国家の成立―東アジア世界の一員として
雄略天皇とその時代
六世紀の開幕
欽明朝と国際関係
国造と屯倉
飛鳥仏教の成立
日出ずる国の天子
改新の前夜
大化の政治改革
百済の役
近江朝廷と律令
壬申の乱
著者等紹介
井上光貞[イノウエミツサダ]
1917年、東京都生まれ。東京帝国大学国史学科卒業。専攻は日本史。東京大学文学部教授、国立歴史民俗博物館館長。1983年没
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感想・レビュー
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おMP夫人
8
題名は飛鳥の朝廷となっていますが、それ(6世紀末~8世紀)より以前の5世紀、雄略朝から話が始められています。朝鮮諸国、中国との関わりに多くのページが割かれているので、ある程度の東アジア史を見通せます。ただ、朝鮮側の記述が三国史記と三国遺事を史料としているあたりはこれらが現存する最古とはいえ、12世紀以降に書かれたものだという点を読むときは念頭に置いておくのが良さそうですが、著者による微に入り細を穿つ分析には圧倒される事しばしば。大化以降の詔や制度を検証・考察する段などはもはや感動的ですらありました。2013/02/25
大宅世継がない
0
雄略天皇から壬申の乱までの編年体的な概説書。 そこそこ古くて、稲荷山古墳発掘前だから今とは変わってる部分もあるだろうけど、真実性が低いって言われてる日本書紀を中心に考察してたのは新鮮だと思った。 朝鮮半島任那など、南を除く全方位に進出していったのは、明治〜昭和にかけての地政学に基づく進出とは異なり、東北や薩摩など日本列島の形すら分からなかった故の拡大だったのではないかと思う。2024/09/28