内容説明
常世信仰の熊野、磨崖仏の国東半島、四国霊場、そして山岳信仰の白山・立山や修験道の出羽三山。わが国固有の風土と生命観が育んだ信仰の多様な形を追究するため、全国の聖地・霊場をつぶさに踏査。そこに見たものは、原始自然崇拝と渡来宗教が融合した姿と、それを希求した名もなき人々の信心だった―。日本の宗教の原初の世界を探る聖地紀行。
目次
日本宗教の原風景―アイヌの大地
原初の宗教コスモロジー―熊野
神道・修験道のはじまり―三輪山・葛城連峰
記紀の神々―伊勢・出雲
渡来神と呪術―国東半島
古都の社寺空間―奈良
日本仏教の誕生と山林修行―比叡山
神祇の宇宙―四国霊場
日本海が生んだ山岳信仰―白山・立山
黄金浄土 水の聖性・桜・永世信仰―吉野山
禅の思想化 坐る身体感覚―永平寺
修験道という生命哲学―出羽三山
著者等紹介
久保田展弘[クボタノブヒロ]
1941年生まれ。早稲田大学卒業。アジア宗教・文化研究所代表。専攻は宗教思想、比較宗教学。一神教・多神教世界を、多岐にわたるテーマから追究し、独自の宗教学研究を展開する
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さんとのれ
1
海や山に浄土を見る古来の信仰や、修験者の厳しい修行の場となった日本の聖地。その聖地から渡来の宗教思想や古代人の思い、地球規模のもっと大きなものに思いをはせるけど、その展開にちょっとついていけない時もある。個人的には、こういうテーマの本はもっと地に足の着いたもののほうが好み。2015/10/15
★★★★★
1
深くもなく浅くもなく。2008/04/17
マウンテンゴリラ
0
右肩上がりの経済成長は終息し、領土問題や歴史認識問題、環境・エネルギー問題等で世界のなかでの存在感が問われる現在において、日本が世界に誇るべき文化は何かという意識が今、多くの日本人に共有されているように思う。本書は、学術的な要素も強く、細部における宗教間の関係性など、難しい面もあったが、上記の様な意識を持つ一般読者にとっても、全体的主張が解りやすく、アニミズム、道教、仏教等の融合と共生といった日本的宗教文化の魅力がよく伝わってきた。2014/02/12
村山誓一
0
自分の国について知らないことが沢山書いてあり勉強になった気がするが、著者の心象風景と思われる部分も多く、「学術文庫」の本として(勝手に)期待していた内容とはちょっと違うものだった。2019/10/16