内容説明
巨大国家アメリカを動かす、大統領たちの「輝く英語」。それは、アメリカ英語の真髄である。平易でありながら格調高い響き、レトリックに富む新鮮な文体。ケネディ、ニクソンから、レーガン、クリントン、ブッシュまで。八人の大統領の歴史的名言を精緻に読み解きつつ、そのレトリック、政治感覚、人間性にまで迫った、英語を通じたアメリカ探求の書。
目次
1 大統領の英語への招待
2 ケネディ―リズム感に富む名文
3 ジョンソン―壮大なレトリック
4 ニクソン―言い訳がましい文体
5 カーター―卒直さと細かさ
6 レーガン―巧みな物語の語り手
7 ブッシュ(父)―優等生の限界
8 クリントン―21世紀への橋渡し
9 ブッシュ(子)―父親を継いだ男
著者等紹介
松尾弌之[マツオカズユキ]
1941年旧満州(現中国東北部)生まれ。上智大学外国語学部卒業、ジョージタウン大学大学院博士課程修了。専攻はアメリカ史。NHK、米国国務省勤務を経て、現在上智大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
11
ジョンソン大統領曰く“In a land of healing miracles, neighbors must not suffer and die unattended.”(大きな治療の力をもつ国にあって、苦しむ者がいたり、みとられることなく死ぬ者があってはならない。)(95頁) クリントン大統領は、「精神がより広くなり、より物事を知るようになり、新しい発見がなされ、新しい真理が見つかって人間の行動や考えることに変化が生まれ、環境が変わっていくならば、社会のしくみも時代とともに進歩発展」(291頁)。2013/06/28
OjohmbonX
3
単に大統領のスピーチの紹介だけでなく、その大統領が登場した文脈やキャラクターと、使用される英語の特徴とを結びつけて解説されるので面白かった。Mr. Presidentという呼びかけが、大統領の呼び方が議論された際に、初代大統領ワシントン自身が「単にミスターでいい」と提案して定着したものという話や、大統領選が教会の説教にも繋がる「言葉の祝祭」の側面があって、大統領候補には演説を語る能力が当然に求められるという話も、そうなのねと思った。2022/11/27
Honhonhon
2
おすすめです。 英語の文法以外のニュアンスを各大統領の性格とともに学ぶことができます。これは、日本人にとって非常に難しいところだと思うので、自分の英語力に深みができるはずです。 2018/05/09
rinv0925
2
ニューディール的な行き詰まりが物語るのは、ハイテクノロジーを用いても、政府介入による管理体制をもってしても貧困撲滅や人種間の平等を達成出来なかったアメリカの姿であった。アメリカの大統領が持つイメージや言葉の変化は偉大で光り輝くものから、より平易で庶民的なものに変わっていく。大統領の英語を読みながら大きな歴史のプロセスが展開される。2016/03/19
さくたろ
0
これでアメリカ現代政治史の知識を補完できる。