内容説明
数え十六歳で践祚し、新生日本の進路をめぐる理念や思惑が交錯するなか、明治という多難な時代と一体となって生きた明治天皇。天子としての権威と天皇としての権力とを一身に体現する彼のもと、日本は内乱期を乗り越え、近代的国家体制を確立し、日清・日露の両戦争に勝利…。史上唯一「大帝」と呼ばれた天皇睦仁の生涯を照射し、その実像に迫る。
目次
第1章 一九一二年暑い夏(「明治、ゼ、グレート」;米価暴騰 ほか)
第2章 幼冲の天子(誕生・賀茂の水と船鉾町;二百石の公家 ほか)
第3章 親政運動(大坂親征;宮廷改革と「天子」 ほか)
第4章 一等国への道(岩倉具視の不安;十四年の政変 ほか)
第5章 乃木伝説(「予、半信半疑す」;乃木の苦衷 ほか)
著者等紹介
飛鳥井雅道[アスカイマサミチ]
1934年、東京生まれ。京都大学文学部卒業。日本文化史・思想史専攻。京都大学名誉教授。2000年8月31日歿
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
den55
1
1989年出版、冒頭に大帝の名がつく日本人は恐らく明治天皇只一人だと著者が書く。著者はあとがきで何故表題が明治天皇ではないのか読者の判断、と書いた。明治大正昭和と3代の天皇を書いた書を読み継ぎ、私にはその理由が分かるような気がする。大正昭和の天皇とは違うものが明治天皇にはあるからだ、と思う。明治大帝と書けば、その時代も背景も人間関係も、全てが明治天皇を照射する。正に大帝の時代だったのだ。2025/07/25
春猫
0
乃木希典と天皇機関説について調べている。ドナルド・キーン『明治天皇』で紹介されていたため読んだ。乃木が和歌を天皇に直してもらっていたことや、乃木の自殺の原因の一つであった軍旗を奪われた事件について当時軍旗が物神化されていなかったことがわかった。2013/06/18