内容説明
浄土三部経の一つ、本願の書ともいわれる『無量寿経』は、法然や親鸞が根本経典中の根本たるものと位置づけ、浄土経諸宗で最も大切にされた経典であり、『教行信証』の思想の骨格を形作っている。本願とは一体何なのか。凡夫が浄土へ至る道は?深い学識をもつ著者が、『無量寿経』を丁寧に読み進め、この経の構造や眼目を明らかにし、仏教の本質に迫る。
目次
第1講 信仰の立場と学問の立場
第2講 この経の成立と翻訳
第3講 浄土の三経について
第4講 本願ということ
第5講 この経の構造
第6講 耆闍崛山の会座
第7講 阿難、仏陀に問う
第8講 法蔵菩薩の発願
第9講 四十八願の成立
第10講 阿弥陀仏の浄土
第11講 浄土に往生する人々
第12講 浄土往生のすすめ
著者等紹介
増谷文雄[マスタニフミオ]
1902年、福岡県生まれ。1925年、東京大学文学部宗教学科卒業。東京大学講師、東京外国語大学教授、大正大学教授、都留文科大学長を歴任。専門は宗教学・仏教学。文学博士。1987年12月6日没
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感想・レビュー
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姉勤
34
浄土宗・浄土真宗の根本的経典の一つ、無量寿経の現代語訳及び解説本。「南無阿弥陀仏」と唱えるだけとした根拠とは。法蔵菩薩(のちの阿弥陀如来)の48の誓願によって、全ての人類が得度(解脱)するまで自らも解脱しない(救済し続ける)決意表明と結果報告。無量寿(計り知れない時間の長寿)の生を得るために凡人は、何億回と生まれ変わり、仏道修行を続けなくてはならない(振り出しに戻る場合あり)、その身代わりを既に法蔵菩薩が実行したから安心して往生なさいという、生きるのに文字も覚える余裕もない世では、さぞ有り難がっただろう。2023/10/12