内容説明
政治・経済・文化―あらゆる面で中国四千年の伝統が集大成された清王朝とは、どんな時代だったのか。女真の一部族による北京占領と建国にはじまる前期、新疆・チベットまで併合し、全盛を極めた中期、欧州の勢力に屈し、崩壊への道をたどった後期。最後の中華王朝の栄華と落日の二百七十年を詳細に描き、近代中国の原点を読みとく、絶好の清代史入門。
目次
序章 清代の概観
第1章 明清交替の背景
第2章 清朝の盛大
第3章 清代社会の転機
第4章 アヘン戦争
第5章 太平天国
第6章 清代の社会経済
第7章 清代の学術
第8章 清代の文芸
終章 清代二百七十年の概括
著者等紹介
増井経夫[マスイツネオ]
1907年生まれ。東京帝国大学文学部東洋史学科卒業。日本大学、東京外国語大学、明治学院大学等で講師を務めた後、金沢大学教授となる。専攻は清代史。1995年没
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感想・レビュー
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sibasiba
14
「絶好の清代史入門」とあるが解説にもある通りアヘン戦争や太平天国辺りで政治史が断ち切られていて王朝の滅亡が書かれていないので名高いラストエンペラーの名前も出て来ない。英国は、後年の日本や米国もそうだが中国の広大な土地と人口による市場に過大な期待を抱いていたようだ。洋銀のあれこれ特に洋銀鑑定法の書物まであったのが興味深い。やはり中国は官僚の国だ。2014/01/19
ミノムシlove
8
読んだと言えるかどうか…。第4 章:アヘン戦争あたりまでは何とかついていけたが、次章:太平天国からは難しくて理解できなかった。太祖ヌルハチの挙兵から乾隆帝統治期までの盛り上がりは読んでいても血湧き肉躍る感がある。清朝は昔から興味があったが、遡ること何千年、長大な中国史の大まかな姿を把握していないと読みこなせないなあという情けない読後の感想でした。2023/04/30
積読0415
8
官僚機構がしっかりしていた国という説明がなされる。そしてそれが清帝国の正負の根源であるという話の運びもなるほどなぁと思ってしまう。一方で文化史、経済史のところで庶民感覚に触れることが出来たような気がした。この感覚が実際の所まだ中国では全然生きているんだろうなぁと邪推するのである。2020/05/01
袖崎いたる
4
アヘン戦争絡みの関心から読む。太平天国なんて言葉あったなあと懐かしくなりつつ、それでもアヘン戦争に目を凝らす。イギリスは相当アジア人をバカにしておったみたいで、サル呼ばわりしつつ、当時のシナ人が茶を啜ることさえ嘲笑っていた気配を、この本は伝えている。著者はそのようなアホ視に対して、イギリス中国ともどもがお互いにおちいちっていた模様2024/12/05
韓信
4
講談社旧版中国の歴史シリーズ清代巻。東洋の停滞を意識した叙述や、チャイナプロパー中心の清朝像は古さを否めない。叙述がかなり観念的で、具体的な史実の積み重ねなしに歴史を描きがちな点(入関前の叙述の薄さたるや!)や、政治史が太平天国で終わっている点が不満。後者は講談社の編集方針らしく、清末は近代中国という扱いなのだろう。江戸の史料まで駆使した太平天国の章は内容が充実しているが、どちらかといえば政治史より社会経済・文化に比重がおかれており、そちらは総花的な内容。銀質の具体的な鑑定方法の話は面白かった。2021/09/18