内容説明
ケインズ、ロレンス、ムアたちに代表される20世紀前半以来の英語圏倫理学の伝統―。その“欺瞞”に異を唱える著者は、メタ倫理学や新厚生経済学の不毛を断罪し、自然の弁証法を通して「新しい時代の功利主義」を提唱する。本書は、後期清水社会学を代表する名著であり、新たな倫理学を思索し構築するための出発点である。
目次
ケインズ、ロレンス、ムア
善の直覚
言語分析
効用の個人間比較
ロビンズ、ベンサムを論ず
幸福計算
効用の樹
無差別曲線
非厳密性
塵芥について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたる
1
こんなに読むのに苦労したのは久しぶりだ。きっとまた帰ってくる。2023/08/15
遠藤 a.k.a. Kon
1
某所で思い出して再読。倫理学というか、人間の欲求と厚生を社会がどう理論的、方法的にいなすか、という話題が中心に思えた。2017/04/01
ゆき
1
人文科学の自然科学に対するコンプレックスと、社会学の経済学に対するコンプレックスと筆者自身のコンプレックスが筆を持ち、功利主義とプラグマティズムをより所に自己思想を倫理学という人間規範の形で正当化しようとした本。あくまでノートであり学術的な論文ではない。 後書きにあたる余白によると人間は貴族と大衆にわかれ、貴族(知識人)は大衆に服従を要求するのだという。そんな時代錯誤な、、、と思うが引用する理論や文章の節々から見え隠れする上から目線を考えると本気なのだろう。2016/02/18
村上直樹
0
ケインズとかを批判する為にウィトゲンシュタインを引いて「語り得ないものについてガタガタ言うな、ザラザラした大地に戻れ!!」と言って限界効用逓減則を賞賛するというなかなか左翼らしい本。転向前に書かれたものだから大丈夫だろうと思って高校の頃友人の左翼に貸したらノーコメントで返された。2011/12/11
gado
0
あくまでも「筆者の倫理学ノート」であって、倫理学の本ではないね、って感じです。2012/08/24