出版社内容情報
数百万年埋もれていた巨大な宇宙船から、いま錆の粒子にのってメッセージが振り撒かれ、町びとをそして全人類を変えようとする……
内容説明
本書は、50年代から60年代にかけてのB級SF映画でおなじみの、いわゆる円盤ものの枠組みのなかでストーリーが進められていく。宇宙船、エーリアン、光線銃や超音波を発する火器、テレパシー交信でガードナーを包囲する町民たち、自動制御によってガードナーに襲いかかる数々の道具類。一昔前のSF映画の原点を思わせるシーンが繰りひろげられる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白のヒメ
45
色んなSF映画や小説の実名が文中に挿入され、SFフリークだったという作者自身が楽しんで書いているのが伝わってくる。ただ、キング作品の多々にある通り、この物語もえげつなく救いなく、人間のどす黒い部分を凝縮して前面に出してあり、途中で読むのが辛くなって来るほど(犬のピーターの下りなど)。唯一の救いはアル中で人生を捨て去ろうとしていた主人公が、なんとか絶望的な状況と戦おうとする良心の小さい光だけ。それにしがみついて読者は読み進めるのだ。長編なので、読後の疲労感は半端ないけれど、やはりキングは好きな作家だな~。2015/01/08
Ayah Book
18
あまり評判は良くない(キングさんも気に入っていない?)ようですが、かなり面白く読みました。空飛ぶ円盤が出てくる割には、ヘイヴンという田舎町だけで物語が展開するので、スケール感はないかもしれませんが、その代わりに狂ってしまった町の人々、対する主人公ガードの奮闘と格闘はたっぷりと描かれています。今までキングさんの男性主人公にはあまり共感したことがないですが、このガードは良かったです。いかにも平凡(というよりアル中のダメ男?)なガードの、英雄的行動には胸を打たれるものがありました。エヴ・ヒルマンもカッコイイ!2023/04/21
志田健治
10
ようやく読み終わった~!今回は大変でした。集中して読むのが難しかったです。主人公が固定されると俄然ぐい読みできるのですが村人パートは疲れました…。しかしこの作品、ファンにはたまりません。他の作品との隠しリンクが随所に貼ってあります。キング式SFも「It」でその片鱗を見せ今作で実験的に完成、そして次なる名作への布石…といった感じです。いや~これはマニアック。いつか再読します。初めてのキング小説がこれだとさすがに不幸ですね。コアファン向けです。映画化してるのかな?まだだったら超期待!2015/10/22
一乗寺隼人
6
大学生の時以来の再読。当時は正直、あんまり面白いと感じなく読破するのに時間がかかった作品。読み返してみると、なかなか面白かった。当時はSFとして読んでいたが、これ、ホラーたわ。『マタンゴ』のような雰囲気というか、トミーノッカー達に埋め尽くされたヘイヴンを想像すれは、いかにこの作品がホラーかが容易に想像がつく。2016/05/19
陽介@中四国読メの会参加中
5
下巻になって物語が動き出してからは一気に読みましたが、それでもやっぱり微妙な作品。SFとしてもホラーとしてもやっぱり中途半端感は拭えませんでした。クライマックスのアクションのシーンも何だかなぁ、と言った感じですし。あとやはり主人公に感情移入できないのがなんともなぁ。露骨に原発批判的な描写もどうかと思いますし。デイヴィッドが助かったのだけは良かったけど。とは言えこれだけのボリュームの作品を最後まで読ませるのは凄いとは思うんですけどね。たぶん次回の再読は無いと思います。2014/05/06