内容説明
紀元前五世紀のアテーナイで盛んに演じられ、今もなお現代人を魅了するギリシア悲劇。その魅力の源泉は何か。普遍的意味はどこにあるのか。アイスキュロス、ソポクレース、エウリーピデース―三大悲劇詩人の代表作、その女主人公の人間像を通し、神々と人間、愛と死など人間存在の本質と根本問題を内在的作品解釈によって鮮やかに解き明かす。
目次
序章 民主政都市国家アテーナイとギリシア悲劇(ギリシア悲劇の時代性;ギリシア悲劇の宗教性 ほか)
第1章 『アガメムノーン』におけるゼウスと正義(『オレステイア』三部作と“正義”;“期待”と“不安”のモティーフ―トロイア遠征とイーピゲネイアの屠り ほか)
第2章 『アンティゴネー』における愛と死(物語の骨子;ドラマの主人公と悲劇の担い手 ほか)
第3章 『メーデイア』―人間と人間を超えるもの(予言者的詩人エウリーピデース;伝説的背景と粗筋 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桑畑みの吉
4
1999年9月出版。三島由紀夫も心酔していたとされるギリシャ悲劇。そのギリシャ悲劇とは何ぞやを知りたくて本書を読んでみた。結果的に本書は初心者向けに易しく概要を解説する書籍ではなかった。三大詩人の代表作『アガメムノーン』『アンティゴネー』『メーディア』(いずれの作品も主人公は女性)の具体的解釈を介しての解説がメインとなっている為、物語を全く読んでいない私にはピンとこない部分が多すぎた。今から2400年以上も前に上演された神々と人間、愛と死の演劇。まずはギリシアの歴史から勉強してみようと思った。 2024/08/22
やま
2
授業のため再読2014/06/08
ふたば
1
再再読(もっと読んでるかも)。いずれの章も古代への愛と鋭い洞察に満ちていて刺激的!想像力の翼がどんどん大きくなって羽ばたきます。2012/06/24
in medio tutissimus ibis.
0
前五世紀、民主制アテーナイに隆盛したギリシア悲劇。それはデロス同盟盟主たるアテーナイの時代性、大ディオニューシア祭で披露され神話に題材をとる宗教性、そして市民の内包する男性優位イデオロギーに強く規定されたモノでもあった。だが同時に、ギリシア悲劇はそうした桎梏を超える普遍性も備えている。アイスキュロス『アガメムノーン』は新時代の正義を執行する英雄としての女性像を。ソポクレース『アンティゴネー』は死を孕んだ愛に殉じる女性像を。エウリピーデス『メーディア』はあまりに人間的であろうした女性像を、それぞれ提示した。2015/11/20
アレ
0
メディア読みたい2011/10/15