内容説明
1929年。世界金融の中心ウォール街は、依然として衰えをみせない空前の投資ブームに沸いていた。相場師や資産家はもちろん、庶民までもがにわか成り金を夢見て株式投資にのめりこんだ。しかし、株価が経済の実態をはなれ、一人歩きをはじめていることには誰も気づいていない…。果てしなく続くと思われたバブル景気に誰もが浮かれくるった株価大暴落の前夜を、生々しく描出したドキュメント。
目次
1章 天井知らず
2章 海外からの展望
3章 敏腕な事業家たち
4章 絶頂と不安
5章 怪我するまで買え
6章 銀行員とは名ばかり
7章 結婚
8章 買占めグループ
9章 追い込まれた強気筋
10章 みんながやっている
11章 海に浮かぶウォール街
12章 落日のイギリス
13章 詐欺は生まれた
14章 暗雲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんすけ
15
1920年代後半の株式に群がる人々の物語を、合衆国を中心に描いている。 フォード、モルガン、ジャンニーニなんかも登場するが断片の様に現れる個々人の動きに興味を惹かれる。 その多くは不況の怖さも知っていながらも現在のバブルに浸ってひと稼ぎを目論み、中には横領に手を出すものいる。 現代人がリーマンショックから何も学ばなかったと同様に、1920年代も警告を促す人は僅かでしかない。 目次から、9月3日の大暴落が語られるのは下巻の後半と思われる。それまでは人間が愚かしさに抗えぬ物語が語りつくされていくのだろう。2020/03/21
鮫島英一
2
1929年。 世界恐慌前と後で分類されることになる熱狂した時代。靴磨きまでも株式投資の話しで小銭を稼ぐ様に、一部の者達は市場の不穏な空気を感じ取っていた。ウォール街の崩壊(上)は全てが狂う前までをドキュメンタリータッチで描いた名作です。 僕たちは現在、コロナショックで世界が一変した世界に生きています。この混乱を知る一助になるかもしれない一冊だと、僕は思いますね。2020/06/13
南禅寺の小僧
2
壮大なる崩壊へと、アメリカが死ぬ日へと向かってひたすら小説的に盛り上げられていく大量登場人物クロスカッティングの群像劇である。血沸き肉躍る。2014/10/23
どうろじ
0
人の名前に多さに混乱した。2018/06/21
中島直人
0
1929年のウォール街崩壊についてのドキュメンタリー。株を巡って狂奔する、銀行家、投機屋、一般庶民等の日常生活が同時並行的に語られていく。登場する人物達が非常に活き活きと描かれており、臨場感がある。面白い。ただ、登場人物が非常に多く、読んでいて少し混乱するかも。下巻ではいよいよ、その崩壊が語られることとなる。2012/05/19