内容説明
アリストテレスはソクラテス以前の哲学者を自然学者と断じたが、彼らは「神的なもの」「自己の内的世界」「国家・社会の問題」等にも強い関心を懐いていた。水を万物生成の元と考えたタレス、魂の神性と転生を説いたピュタゴラス、自分自身とその魂の探求を第一義としたヘラクレイトス等々…。今日に伝わるソクラテス以前の主要な哲学者の真正の言葉を丹念に読み解き、その真価を明らかにした意欲作。
目次
第1部 ソクラテス以前の哲学者―その思想(「ソクラテス以前」について;哲学の先駆者たち;ミレトス派の人びと;クセノパネス;ピュタゴラスとピュタゴラス派 ほか)
第2部 ソクラテス以前の哲学者著作断片(アナクシマンドロス;アナクシメネス;クセノパネス;ピロラオス;ヘラクレイトス ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
21
ソクラテス以前、アリストテレスにより自然学が分類される前の、まだ哲学と自然の考察が一体の時代であった頃の哲学者たちの解説と、残された著作の断片集。世界そのものとしての「自然」や「存在」の無限性と限定、有と無のパラドックスをそれら哲学者がいかに取り組んだかがメイン。神話に系譜学的整理を加えたヘシオドスといった神話詩人も含め、自然をめぐる思考にロゴスを持ち込んだ思想家として扱っていて幅が広い。パルメニデスのあるとあらぬの問いが中心なのだが、パルメニデスはテクスト自体が神秘的で面白い2013/12/22
Gokkey
18
前半部についてはヘシオドスからミレトス派、ピュタゴラス派、エレア派と各哲学者毎に解説が進むが時間軸とあわせて古代ギリシアの世界観がどのように変遷していったかが理解できる。付録の「自然について」では、ピュシス、プシュケー、パンタ、コスモス等の概念上の関係性が理解できるように配慮されており、前半部のまとめと頭の整理に大変役に立つ。ではソクラテス以後(具体的にはプラトン・アリストテレス)で何が変わったのか(もしくは変わらなかったのか)という点は一旦ハイデガーやニーチェから外れて自分の頭でじっくり考えてみたい。2020/09/25
mstr_kk
14
ソクラテス以前のギリシアの哲学者たちの思想を、ひとつのストーリーのように見事に紹介・解説してくれる本で、メチャクチャ面白く、勉強になります。アリストテレスのせいで、ソクラテス以前の哲学者たちは自然学者だという常識ができたけれど、彼らは人間についても考えていた、というのが大きなテーマ。そして廣川さんのストーリーだと、パルメニデスの登場が決定的・壊滅的なインパクトで、そこから立ち直るためにデモクリトスらやソフィストたちが頑張った、ということになります。パルメニデスがそんなにすごい人だったとは知りませんでした。2017/09/25
Ex libris 毒餃子
13
ギリシア哲学をきっちり学びたい人が最初に読むべき本。原典もあるから親切。 このあとにディオゲネス・ラエルティオス、日下部吉信や岩田靖夫にチャレンジするのが良い。2024/07/09
すずき
9
ミレトス学派以前の哲学の萌芽からデモクリトス、プロタゴラスまでの10人以上の人物誌を中心にした形でまとめられている。各章がコンパクトかつ非常にわかりやすくまとまっており、ソクラテス以前の哲学者に関する概説本が少ない中にあって文庫本でこれが読めるのはかなりありがたい。半分近くは訳出断片がほぼ丸々収録された部分であり、主要哲学者のものだけとはいえこの本で原典に当たれるのも助かる。2019/12/21
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