内容説明
本書は、音楽家としての波乱の六十五年の生涯と、名曲の背後に隠された人間バッハの苦悩と喜びを、最良の伴侶の目を通して叙述。英独仏で多くの読者に愛され続けたバッハ理解に必読の古典的名著である。
目次
第1章 めぐりあい
第2章 その日まで
第3章 なつかしきバッハ
第4章 ライプツィヒ
第5章 晩年
第6章 バッハの音楽
第7章 終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumoh
1
バッハの奥様が描いたバッハの生活の記録。彼がいかなる人物であったか、彼がいかに音楽と向き合っていたかが分かります。今でいう「アーティスト」の考え方とはだいぶ異なり、彼は宗教的な考え方にそって、厳粛な性格をもって、家族や友人たちにたいしては朗らかに、一種の思慮深さと、秩序正しさ、そして微笑みを絶やさない人であったということです。また「才能など必要ない」という考え、「正しく鍛錬をつめば誰でも私のようになれる」という教えは、なにもバッハの謙遜などではなく、彼を包んでいた透徹な希望と論理そのものであったと思います2023/03/02
カネコ
1
◎2017/10/13
Mrs.Holmes
1
再読。私はもともとバッハの音楽が大好きでしたが、この本は本当にすばらしいです!バッハの二番目の奥さんであるアンナ・マグダレーナが書いたという触れ込みですが、200年も前に生きていた大音楽家の生身の姿を生き生きと見せてくれました。音楽の父と呼ばれているバッハが、決して天才ではなくむしろ職人としていかに音楽を、そして何のために作ったかを読んでいくうちに、こんなスゴイ人も私と同じ悩みがあったんだなあと思い、泣きながら読了しました。2009/03/21
うな坊
0
一読して、仮託の書であることがわかる。妻アンナ・マグダレーナの本とは思えない。アンナの著書とすることに一抹の疑念があると翻訳者がいうのは勘が鈍すぎる。一種の伝記として読めば楽しめる。訳文も楽しめた。2010/12/26
まふ
0
バッハの二番目の妻アンナ・マグダレーナによるバッハの人間像について述べた書。マグダレーナは13人もの自分の子と先妻のマリア・バルバラの4人の遺児を育てた立派なお母さんだったようだ。バッハのあの精緻・豪放かつ優美な音楽が生まれたこと自体が奇跡であるが、彼はオルガンのみならずチェンバロ、フルート、ヴィオラなど何でも演奏できる「天才」でもあったようだ。この書は「偽書」とされているらしいが、それを忘れさせる幸せな内容であり、よい本が読めてよかった。2022/05/17