内容説明
近年のコンピュータの普及に象徴されるように、科学技術の急速な進展と波及は、文明という舞台の中央から人間を閉めだしつつある。はたして、このような人間喪失の危機を脱する道はあるのだろうか。本書は、「人間は創造することを止める時、その生を止める」と主張した二十世紀の代表的な文明批評家マンフォードが、芸術と技術の均衡回復によって、現代の危機は乗り越えが可能と訴える必読の名著。
目次
第1章 芸術と表象
第2章 道具と目的
第3章 手仕事から機械仕事へ
第4章 標準化・複製・選択
第5章 建築における表象と機能
第6章 芸術、技術、文化の総合
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あんかけ
2
読み終え。コンピュータや大型製造機が台頭しつつある時期の話っぽいなという印象。語り手がアメリカの人なので戦後から宗教色が薄いまま社会の発展をどうのこうのとやってきた日本とは語られることがちょっと違うかなとは思うものの、発展した日本において機械による余暇の生成について美術やなど文化に触れる話は納得性がある。筆者が4章の締めで述べた芸術を享受するための条件は同感。もっと楽しみのための時間があって、選択のための余裕があるというのが私にとっても理想。ChatGPT助けてほしいね……。2025/05/15
t-poyo
1
とても好きな内容だった!が、回りくどい表現と抽象的な引用が多く読みにくかった。 進歩した技術が社会を覆い尽くすことによって、手段だったはずの技術が目的化し、芸術の創造・鑑賞や有機的な生活といった人間の本質的活動が阻害されていることを批判する内容。人間らしい生活を奪われた現代人は、その創造力をリーダーに託してしまい思考を放棄する傾向にある、とも。資本主義の台頭には、技術の進歩による物理的効率化だけではなく、人間の内面の変化も欠かせなかったんだろう。技術との付き合い方を自分の生活の中でも見直していこうと思う。2024/02/17