講談社学術文庫
信長と天皇―中世的権威に挑む覇王

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  • サイズ 文庫判/ページ数 220p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061595613
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0121

内容説明

将軍義昭の追放、一向一揆の鎮圧、そして割拠する戦国大名にも彼に伍する者はすでにいない。中世的権威を否定することで統一事業を推し進め、いまや天下を手中にせんとする覇王の前に立ちはだかった最大の障壁は正親町天皇だった―。天下人・信長は天皇を超えようとしたのか?信長の政治構想を追究し、天皇制存続の謎と天皇の権威の実体に迫る。

目次

序章 上洛志向
第1章 入京直後の公武関係
第2章 勅命講和
第3章 天皇の平和
第4章 神格化の挫折
終章 本能寺の変なかりせば

著者等紹介

今谷明[イマタニアキラ]
1942年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位修得。文学博士。横浜市立大学教授。専攻は日本中世史
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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金吾

31
信長が最終的に何を目指していたかを考察しています。信長が外交等で天皇の権威を利用している時点で天皇を超えられないという部分は信長以外が天皇をどう捉えていたのか考察されていない点や権威の利用がその権威の不可侵性になるというのは論理性に欠けているように感じ、そのまま受け入れにくいです。しかしながら正親町天皇と信長の凌ぎを削る争いは読んでいて面白かったです。2025/04/11

のれん

6
かの有名な信長は生きてたら幕府を開いたか、それとも自ら天皇家のようになろうとしたか。 そんな歴史ミステリーに考察を分かりやすい史料と共に提示している。 筆者は中々厳しい判決を信長に下しており、信長は合戦の敗北や本願寺の降伏に天皇権威を利用したため、それ故天皇権威に屈服しているとする。 納得できる結論に、私自身判官贔屓なる目を信長に向けていたんだなぁと感じてしまった。2018/02/11

Ohe Hiroyuki

4
信長は勤王家だったのか否か。本書はこの問いから始まり、信長時代が概観される。信長の戦いぶりだけでなく、正親町天皇の策士ぶりが描き出されている。▼著者の語り口は鋭く、朝倉義景・浅井長政が江濃越一和に応じたことについて、「千慮の一失というほかない失態であった」と手厳しい。だからこそ参考になる。▼「天皇制」などと述べる等、著者の思想はにじみ出ているが、信長が、「天皇」(制)に組み込まれている姿を率直に描き出している。信長一人で歴史ができたわけではないが、信長の存在の大きさを本書をもって改めて感じた。2025/04/11

Ucchy

2
軍事力で支配しようとする信長と権威で皇室を守ろうとする正親町天皇の抗争。実力と権威が対決したとき、どのようなことが起きるかという事例として興味深い。また、興味深いのは象徴天皇制にあたる慣行が既に戦国期に確立していること。(天皇の国事行為と同様に)武家が強要して天皇に綸旨を出させたりしても、天皇自身はそれについて責任を負わない慣行が確立されている。信長は中世的権威、すなわち比叡山のような宗教勢力や天皇・朝廷による国司任官や将軍任官による権威を超越しようとしたがそれは実現せず。信長勤王家説は誤りとしている。2017/11/19

月光密造者

2
自らを「第六天魔王」と称し、比叡山焼き討ちなど傍若無人な感のある信長の苦悩が感じられた。足利義昭、そして正親町天皇との微妙な綱引き。本書にもあるように恐怖政治は、彼の苛立ちを象徴しているように思えた。足利義満との比較は分かりやすい。「調停装置」としての天皇の有り方も資料を多用し説得力がある。信長に屈しなかった正親町天皇はもっと注目されても良いように思う。2011/10/31

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