内容説明
法然の思想を継承しつつ、独自の境地を切り開いた真宗の開祖親鸞。その思想の究極は、悪人優先の救い、煩悩具足のままの救い、この世とあの世における平等、の現世における実現にほかならない。時の権力や既存宗教による度重なる迫害、越後への配流、東国移住、実子善鸞の義絶等々、求道者ゆえ、布教者ゆえの波瀾にみちた親鸞の生涯とその思想を、真宗研究の第一人者があざやかに描いた書き下ろし。
目次
序論
第1章 鎌倉仏教はなぜ生まれたか
第2章 他力の念仏後親鸞
第3章 越後における流人親鸞
第4章 関東の親鸞
第5章 親鸞教団の形成と弾圧
第6章 慈信坊善鸞の背信と義絶
第7章 親鸞の往生とその後の真宗
第8章 親鸞における行動と思想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ryohjin
12
歴史学者により書かれた親鸞の生涯と思想の本。布教への弾圧や越後への流罪、善鸞事件による息子善鸞の義絶や信徒の離反。親鸞はその生涯の中でも様々な困難に遭遇し、葛藤を抱えながら生きてきたことが想像されます。親鸞の思想を理解するにはこうした人としての姿や当時の社会のあり方を押さえておく必要があると感じ読んでみましたが、概要を理解することができました。2023/03/30
ホシ
7
実家に帰ったとき、本棚にあって読了したのを思い出したので追加で登録。親鸞の思想を知るには良書だと思う。親鸞の思想や真宗の基礎的な知識は、この本で本格的に勉強したっけなぁ。本願寺も最初はぺんぺん草が生えるような寂れた寺だったっていうのも本書で知って、驚いた記憶がある。もう一度、読み直したい。2016/02/09
nbhd
6
良い本。というのは、書き出しから親鸞ラブにあふれているから。曰く『また親鸞の本を書いてしまった。書くたびに、これが最後、これが最後、と思い続けてきたにもかかわらず、またまた書いてしまった』。繰り返しになるけど、『マタマタ書いてシマッタ』というのは、のっぴきならないラブの境地だ。キホンは親鸞さんの伝記で、箇所箇所で考察がくわえられるというスタイル。親鸞さんについてだけでなく、時代背景や鎌倉期の思想も余さず紹介していて良い。唯一難点は、諸説アリな部分も著者の推測が断定調で書かれているところ、でも愛だからOK。2016/06/12
高橋 橘苑
3
平易な喩え話を交え解りやすく解説されていて、久しぶりに親鸞関係の書物を手にした自分にも理解度が深まった。なぜ悪人正機なのか、少しでも自力の心構えをもってしては救われないのか、阿弥陀仏の慈悲は煩悩具足の徒に優先的に向けられるという。そして、親鸞上人の視線は己の欲心をまっすぐに見つめている。三部経千部を読んで衆上利益を願った己の信心の足りなさと共に、自力で人を救済が出来ないことを自覚している。それは利他心という慢心であり、悪人凡夫であるという自覚の足りなさでもあった。上人の足跡は自己を見つめなおす機会になる。2013/09/27
マープル
2
親鸞の入門にと思い購入したものだが、読みやすく大枠の理解にはよかった。この著者、しょっぱなに笑わせてくれます。はしがき冒頭「また親鸞の本を書いてしまった。書くたびに、これが最後、これが最後、と思い続けてきたにもかかわらず、またまた書いてしまった」と、おちゃめ。ある意味、煩悩のなせる技ですかねぇ(笑)2011/11/03
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