内容説明
ギリシア悲劇の中で最高傑作といわれ、アリストテレースも激賞した『オイディプース王』。アポローンの神託の成就と、そこに描き出された人間存在の悲劇性を浮き彫りにしたこの『オイディプース王』を文学として捉えなおして徹底的に解読吟味する。悲劇としての巧みな劇構成、そして、今なお私たちに問いかけてやまない人間存在の本質―時空を越えて輝くギリシア悲劇の魅力を読みつくした意欲作。
目次
1 時代背景
2 謎とアイロニー
3 テイレシアースとクレオーン
4 イオカステーとアポローンの神託
5 イオカステーと「偶然」
6 第二合唱隊について
7 「真理」と「ダイモーン」
8 盲目のオイディプース
エピローグ 『コローノスのオイディプース』瞥見
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiro
3
オイディプス王を時代背景から始めて物語の進行に従って逐一分析解説した本。やはり最も興味深いのは河合訳オイディプス王の解説でも触れられた、イオカステがどのタイミングで真相に気づいたかについての考察。河合氏は本書の説は無理があるとしているが、本書を読むと私はあながちあり得なくもないのではと思い始めた。いやその方が話としては俄然面白く感じられる。こうしたことを考えさせる位作品のキャパシティが大きいということだ。2022/08/28
Stake Baba
0
★★★☆☆2016/02/18
真塚なつき(マンガ以外)
0
時代背景などを加味しながら、基本的にはテクストにそって読解していく。ソポクレスの織り込んだ意図、オイディプスのアポロンに選ばれた者としての壮絶な人生とその破滅、イオカステの盲目への凄絶な意志、それらを描き出す筆致は情熱に溢れていて、ただでさえ悲劇の代名詞ともいえる傑作を、さらに凄みと深みを湛えたより豊かな姿でもって受け入れられるようになる。圧巻。2011/04/21
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