内容説明
無限の時間と空間をもつ「宇宙」という概念は、古来、人間を惹きつけてやまない。著者はデモクリトスやプトレマイオスらのギリシャ・ローマの宇宙観から筆を起こし、コペルニクス、ケプラー、ガリレオ、デカルト、ニュートンとつづく天文学の業績を平明に解説。二十世紀のアインシュタイン、ガモフらによる新たな「宇宙神話」ビッグ・バン理論まで、幾多の曲折を経て確立された壮大な宇宙論の歴史。
目次
宇宙とは・宇宙観とは
神話的宇宙像
古代ギリシャの宇宙観
ユダヤ・キリスト教の宇宙観
天文学的モデル―プトレマイオス
西欧世界の成立
ルネサンスの宇宙像
コペルニクスの登場
ケプラーの宇宙観
ガリレオと望遠鏡〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
「バスコダガマの系統が採った東廻りルートと、コロンブス=マゼランの系統が採った西廻りルート双方の開発によって、西欧における地球の東西についての知識が拡大した…これが科学的な地球像の確立に与えた影響の最初は、地図作製法に現れた」「ルターは「天や太陽、月ではなく、地球が回転している、ということを示そうとやっきになっている成り上がりの占星術師の言うことを、人びとは聞こうとしている。…この愚か者…」と激しくコペルニクスを罵倒している」コペルニクスの書名は勝手に変えられ、意図に反する無署名の序文まで付け加えられた。2015/11/23
misui
5
宇宙像の本なので当然それは勉強になるのだが、12世紀ルネサンスを知ることができたのが自分には大きかった。レコンキスタによって取り戻したトレドからイスラム世界の知識が西洋に流入し、それは失われた古代ギリシャ以来の知識を引き継ぐものであった。そこでアリストテレス主義をキリスト教の教理に回収したのがスコラ学である。また、15世紀のルネサンスでは新プラトン主義が遅れて紹介され、異教的な新思想がケプラーの発見を促した。2019/02/19
Z
5
放送大学のテキストだったらしい。古代ギリシャから、宇宙像の変遷を辿るタイトルそのままの本で、簡潔に分かりやすく整理している。むしろ哲学史入門のような趣もあり読んでて面白かった2016/09/02
NагΑ Насy
5
プラトン・アリストテレスから、中世キリスト教の宇宙観を経て古典物理学の宇宙観、現代物理の宇宙観まで、人間にとっての宇宙のイメージの変遷をヨーロッパを中心にたどる放送大学の講義。2014/04/12
Toshiaki
1
古代から現代に至るまで、人類が宇宙をどのように把握してきたかということが平易にまとめられている。科学史の入門に相応しいのではないか。ケプラーが神秘的宇宙観の信奉者だったことや、ニュートンが聖書の宇宙観を正しいものであると確信していたことは初めて知った。2014/01/31
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