内容説明
中国史上もっともドラマチックな時代―三国時代の幕を開き、その立役者となった曹操。彼は主家を奪った逆臣として悪名高く、「乱世の奸雄」と評されてきたが、政治家として、また詩人としてもまことに優れた人物であった。名族の出身でもない曹操が、濁流のなかから身を起こし、一時代を回転させる軸となっていく軌跡と彼の人間的魅力は、現代人の心を惹きつけてやまない。真の曹操像にせまる好著。
目次
1 「濁流」の系譜
2 風雲児登場の舞台
3 治世の能臣か乱世の姦雄か
4 黄色い光を放つ星
5 天下三分
6 曹操をめぐる人びと
7 曹操の文学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆとりくん
5
人材登用や罷免の方法しかり、乱世にあっては実力と情に頼らない冷静さが必須だったのだろう。演義等では彼の非情さが際立つエピソードばかり描かれているが、本当にそうなのか。「非情」や「冷酷」といった言葉で評される程、彼の人間性は薄ぺっらくはない。彼の詩を読むと、リーダーであるがゆえの政治・軍事を取り仕切る上での苦しみや下の者の目線で見た悲哀、ユートピアへの憧れ等、繊細で揺れ動きやすい心を持っていたことが分かる。数々の戦場と政治的駆け引きを乗り越えてきた人間の哀しみと生きることへの強い意思が強烈に伝わってくる。2015/03/28
韓信
4
ロングセラーの部類に入るであろう曹操の評伝。底本の刊行時期からは政権構造や軍制の研究、墓の発掘などで曹操及びその政権の歴史的評価は変化しているので、いま読むとやはり古いというか彼の生涯を表面的になぞっただけという印象。むしろ本書の特色は歴史的評価よりも、文学の面に紙幅を多く割き、詩人及び個人としての曹操像を掘り下げている点にある。彼の詩で多くうたわれる一兵卒目線での征旅の苦しみや神仙への憧憬からは、意外なほどにナイーブな人格と、進取の気性があった彼とても玄学が流行るような時代の影響下にあることが見てとれる2013/04/11
BIN
3
曹操―その行動と文学 (東洋人の行動と思想〈7〉)と全く同じ内容。前作の20年後に文庫本版として出たので、加筆修正されているのかと思っていたが、序文を見てあえて全く変えてないとのこと。2013/04/14
条
3
「曹操」という人間が鮮やかに浮かび上がっているのではないかと思われる。特に濁った流れ、濁流より曹操という人物が浮かび上がってくるという後漢(末期)の歴史的状況についての説明は勉強になるところが多かった。また曹操の詩を収録しているところもいい。できれば書き下し文をつけて欲しかった、というのは贅沢か。2011/10/02
出世八五郎
2
孟徳の毒は足りない。その偉業のみ記されてる。毒は足りない。
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