内容説明
アメリカの政治史を論ずる時、常にアメリカ政治思想論議の出発点となっている『アメリカ自由主義の伝統』。ハーツはアメリカとヨーロッパの政治史を比較対照し、封建的伝統を持たないアメリカは「生まれながらの自由主義社会」であると分析。更に自由主義を絶対化して国民的信念「アメリカニズム」を確立したと論及する。才気溢れた文体と論理を駆使した鋭い洞察によるアメリカ政治史の古典的名著。
目次
第1部 封建制度とアメリカ的経験
第2部 新世界での革命
第3部 デモクラシーの登場
第4部 南部の封建的夢想
第5部 ホレイショ・アルジャーのアメリカ的世界
第6部 経済不況および世界政治への介入
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あんころもち
11
自由の絶対主義化、アメリカンドリームの賛美からなる「アメリカニズム」の比較政治的分析。最も典型的、古典的なアメリカ的なものの論考と言える。サンダースがここまで伸長する時代となっては「社会主義の拒否」というテーゼとの乖離は別途考えなければならないものだが、結局議論の出発点がこの本であることに代わりはないであろう。アメリカ的なものへの懐疑が進んでいた時代に書かれた解説は、そのような現実との乖離について実に考えさせられるのでそちらだけでもオススメ。本文はなかなかしんどい。2016/05/29
あんころもち
7
ハーツによれば、F・ルーズベルトのニューディールは第一に急進的、第二にプラグマティックなのだそうだ。そのこころは、自由主義世界たるアメリカでは公共事業の拡大や社会福祉の充実といった政策はあまりに社会主義的である一方、あくまで大恐慌による貧困や経済悪化といった重大な問題への自由主義的な解決策として行われたに過ぎないという。 今回サンダースが大統領になっていたらそれは「革命」だったのか。結局、急進的でプラグマティックな問題解決的な政策が行われるに過ぎないのではないか?2016/06/22