内容説明
ドイツの若者のイメージを代表するワンダーフォーゲルは、反世紀末的で、反デカダン的であった。彼らは世紀末を次の世紀への飛躍の兆候としてとらえた。若者たちが創り出した雑誌「ユーゲント」も未来への希望を表現した。ドイツの世紀末は、パリやウィーン風の終末論的世紀末と異なり、未来志向の世紀末転換期であった。世紀末に生きるドイツの若者の生態を文化史的観点から斬新に描いた名著。
目次
1 遍歴する若者たち
2 ワンダーフォーゲルの思想と背景
3 「自由ドイツ青年」
4 世紀末の大学生気質
5 若者と性
6 ボヘミアンとコロニー
終章 世紀転換期から30年代へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
牛タン
4
19世紀末ドイツにおける、インテリ青年たちの社会について。決闘や飲酒で独特の文化を築いたブルシェンシャフト、自然の中を放浪したワンダーフォーゲルとその発展系の自由ドイツ青年、大都市のカフェにたむろした文学青年的なボヘミアン。いずれも拮抗する関係にあったが、それらに通底する共時代的な感覚があったはずという点が繰り返される。ドイツ訪問の後読んだ。部分部分面白いと感じる点もあったが、文章が難しいのに加えて、哲学や19世紀のヨーロッパ史について前提として求められる知識が多く、正直全体的によく理解できなかった2018/11/15
inenoha
0
ワンダーフォーゲルや「自由ドイツ青年」に代表される,世紀末,というか世紀転換期のドイツ(語圏)における青少年の独特の運動とその心性を追う.ワンダーフォーゲルが直接の親や教師ではなく,教育体制そのものに対する反抗として始まったこと,その原ゲルマン的要素への憧憬,節制と禁酒への志向を有していたことなどを,右派・左派への分裂や,大学生とボヘミアンとの比較を通じて描き出していく.古き良き学者の文体であるが,固有名詞の洪水がつらい.2020/01/16
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