内容説明
新しい歌とは何か、なぜ歌を作るのか。本書は、まさに戦後の歴史的局面のさまざまな変貌と混乱を振り払うように、沈滞し腐敗しかかった戦後短歌に指針と光明をあたえた歌論集として、多くの短歌実作者の記憶に長くとどめられてきた。実作者は己を賭けた生の追究をせよと説く三十四篇の歌論には、いずれも著者の意気込みと責任の強さがみなぎっている。時流を超えて新たな光芒を放つ現代短歌の原典。
目次
転機に立つ
幇間の如く成る場合
福田みゑの歌
新しき歌壇の生成
短歌の封建性
批評への不信
新しき短歌の規定
作品とする技術―批評の基準について
短歌と生括
短歌の作り方について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
11
強い主張を秘めた歌論書です。勉強不足で理解が及ばないところがたくさんありました。しばらく時間をおいて再読することにします。2019/09/23
浦和みかん
3
戦後直後に書かれた歌論書だが歌に対する姿勢には感銘を受ける。ただ、僕には力がないためこの時代の歌の良し悪しはいまいち分からなく、特定歌人に関する小論はピンと来なかった。ともあれ刺激的な一冊。2015/10/29
905
1
後記にもあるが気負いすぎの感がある。論というか個人的意見、感想でしかないと思う文章も多い。古い価値観や封建制を批判するのはいいが、「老人の肌のごとくうすぎたない」みたいな表現もどうかと思う。でも、短歌的抒情みたいな既成の枠組みに囚われてはいられないという心意気はわかった。その舌鋒に好き嫌いはあるが、短歌批判が激しかった当時の「新しき短歌」として、「そんな感じだったんだ」と時代背景を推察しながら読めばいいか。2022/06/27