内容説明
アメリカの政治を動かす保守とリベラルの2大社会思潮の対立を、政治学の第一人者が丹念に考察。共和党政権を12年も継続させた保守主義の興隆、さらにソ連解体、経済弱体化で急速に進んだ保守の分裂とリベラルの反撃など、クリントン登場までの熾烈な攻防を解き明かす。日々変化する情報に流されることなくアメリカの本質を理解し、今後の動向を正しく把握したい人に贈る必読の文庫オリジナル。
目次
序説 リベラリズムと保守主義
第1章 保守主義によるリベラリズム批判
第2章 ネオ・リベラリズム
第3章 ポスト保守主義時代のイデオロギー
第4章 既成イデオロギーの解体と新たな模索
第5章 クリントン政権の誕生と保守派の分裂
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
18
トランプ氏やヒラリー氏、サンダース氏等の選挙戦が熱くなってきたので、知識吸収もかねて読んだ。アメリカの保守でさえ、新自由主義的で、日欧から見てもリベラルに位置すると思った。本書にも書いてあったが、国民のほとんどは外部から短期間で到来し、実験国家の様を呈しているので、保守のよりどころである歴史と伝統が育っていなく、理想が優先される傾向にあると思った。2016/03/23
coolflat
14
60年代を謳歌したアメリカのリベラリズムが、やがて70年代、80年代になるにつれ、どう衰退したのか。そしてそれに代わって、保守主義がどう台頭していったのか。その間で派生するネオコン(リベラリズムを批判して保守主義を信奉するに至った旧リベラル)やネオリベ(リベラリズムを批判して、なおかつリベラリズムの目標を掲げ、同時にある種の偏見を捨てる人々)が、中道を掲げるクリントンにどう影響を与えたのか。この有り様が分かる。中曽根~安倍に至る日本の右傾化が、世界(=アメリカ)の右傾化の流れの一貫にあった事も推察できる。2016/01/07
Haruka Fukuhara
5
どうも政治の概念で関連がわからないものがあって、リベラルと保守、リベラリズムとリアリズムとして語られるリベラルとリベラリズムは同じなのか、同じならそれぞれの対概念の保守とリアリズムも重なるのか、とか、左派右派がそれぞれ何を指すのか、経済での右派左派と政治の右派左派には連関があるのかとか割とよくわからない。この本はアメリカの政治における保守とリベラルの歴史的な把握。2017/03/26
sk
4
基本的文献。押さえておくべき教養。2020/05/14
chayka2
2
ネオ・リベラリズムの本来の意味を初めて知った。主に既存の民主党リベラリズムへの批判として民主党内から出てきて思想のようである。日本で使われるネオリ・ベラリズムは本来の意味とは異なる。クリントン政権の主張が本来の意味でのネオ・リベラルに最も近いらしい。2022/12/15