内容説明
「歎異抄」は、親鸞晩年の弟子唯円が自らの願いを織りまぜて先師の法語を綴ったものである。「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」の悪人正機の教えや、「わがこころのよくて殺さぬにはあらず」の宿業観など、人間存在の根底に迫る真理の言葉といえよう。本書は、原文と現代語訳の対照や解説の扱いに工夫をこらし、「歎異抄」を宗学から開放して仏教思想との関連から平明・懇切に論及した好著。
目次
1 『歎異抄』の成立
2 唯円の歎き
3 他力のすくい
4 ただ念仏して
5 悪人正機
6 真実の愛
7 念仏に生きる人びと
8 聖人のおおせにしたがう異端説
9 概念化の異端を斥ける
10 律法化の異端を斥ける
11 伝統と己証
12 附録ならびに奥書
13 浄土教と『歎異抄』