内容説明
漢の武帝の頃、淮南の地を治めた淮南王のもとには大勢の学士食客が集まり、数多くの著作を残した。2000年後の今日に伝わる『淮南子』がそれである。その内容は複雑多様、諸子百家から戦国的自由思想の伝統、また、処世や政治、天文や神話伝説まで集合されている。全体の基調は老荘的なものに貫かれその百科全書的な性格が人々をひきつけてきた。混迷の世を生きる現代人に贈る必読の人世哲学の書。
目次
第1部 淮南王物語(淮南王とその時代;仙人になった淮南王)
第2部 淮南王の書(淮南子21篇;老荘的統一)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
170
『淮南子』は漢への反逆罪に斃れた淮南王が自ら編纂した書である。王の宮廷に集まった思想家達は、消極的だが政治性を持つ老子と、個人の内面を重視する荘子を結びつけて老荘という軸を作り、そこに諸子百家を配して実際的な啓蒙書を編もうとしたらしい。いわば(儒教中心でない)思想の集大成をめざしたわけで、さらには楚辞からの神秘性やら浪漫性も流れ込んだ。かつて楚の都だった寿春は、こうして戦国を生きのびた自由思想家達の拠点となり、長安に対抗する文化圏を形成したという。儒教中心の国造りをめざす武帝にはさぞかし目障りだったろう。2025/12/16
ロビン
14
中国漢時代の淮南王と彼のサロンに集まった諸子百家によって形成された『淮南子』は、老子や荘子(「老荘」と併記したのは『淮南子』が最初らしい)、韓非子などの法家、儒家などからそれぞれの要素を取り入れた「雑家」に分類される。本書は『淮南子』本文の訳ではなく解説書。日蓮大聖人が読まれたというので読んでみたが、形而上や反俗の要素を持ちながら俗世を蔑ろにせず、かといって人間の最高の目的を俗世の栄達にも置かないというバランス感覚ー仏法でいう「如蓮華在水」のようなーに大聖人のそれに通ずるものを感じた。本文も読んでみたい。2025/01/29
isao_key
8
漢の武帝の頃に成立した『淮南子』21篇は、百科全書的な本であり、思想についてみても儒家、道家、法家などをほとんど網羅している。本書は『淮南子』の訳注ではなく、『淮南子』について書かれた論文である。『老子』と『荘子』を並べて重視し、「老荘」ということばを使いだしたのは『淮南子』がはじめだという。『老子』や『荘子』の因楯無為の立場を中心としながら、それを単なる観念的なものに終わらせないために、儒家や法家の思想を折衷して、具体的な総合的な政治論を展開したところにその特色があった、という。一言では捉えきれない。2015/02/13
荒野の狼
6
解説は、淮南子の全訳を新釈漢文大系の全3冊として10年がかりで刊行した楠山春樹が9ページにわたって書いている。本書の著者の金谷治の思想は、オリジナルの意図をはるかに超えて、淮南子という本を、中国の古代思想を総合する位置にまで押し上げている素晴らしいもの。金谷の思想を、より深く理解するためには、淮南子の全訳と対象しながら、本書を味わいたい。逆に、淮南子を読む前に、本書を読んではじめて、大著の底に諸家の思想を包んでしまう”道”という思想が流れていることが、意識されると思われる。2015/07/19
こうけんどう
6
元々は淮南子の紹介を期待していたが、それがほとんど無かったので残念。 ただ、前半の淮南子の成立過程で出てきた淮南王の伝記は面白かったし、後半の老荘という切り口から見た淮南子全体に流れる思想の分析もわかりやすかった。 そもそも訳注を期待せずに、わかりやすい研究論文として読むべき本でした。2019/09/28
-
- 電子書籍
- 異世界でチート能力を手にした俺は、現実…
-
- 電子書籍
- 愛が重めの王太子からは逃げられない~地…




