内容説明
言葉は人の心の顕われ。切実な祈りから「詩」が生まれ、詩にはすべてそれを響かす相手がある。恋人・為政者・神―。遠く征く夫を気づかう哀切な想い、権臣の邪な心を正道に戻そうとする万民の叫び、鬼神も動くかと見える敬慎なまごころ。人の生の真実を表現しつくす中国文芸の神髄を、「風」「神」「気」「儒」「侠」など、重要なキーワードの分析を通じて明らかにする。余人の追随を許さぬ、類まれな論纂。
目次
「風」の説
「雅」について
六朝文芸論における「神」「気」の問題
「詩格」及び「詩境」について
「癡」の芸術
中国の文学と「儒」「侠」との関係
唐憲宗朝の文学
陳奐伝―或る清朝漢学者の生き方
水仙花―〓自珍の生涯
文学と人間