内容説明
「人も物もみな、神秘をたたえた、小さな妖精の国」と日本を初めて訪れた八雲は、感嘆の声をあげた。出雲の松江という「神々の国の首都」での彼の見聞記は、人々の日常生活の中に分け入って、深くその心を汲みとろうという姿勢で貫かれ、みずみずしい感動と相まって、見事な文学作品にまで昇華されている。旧い日本と新しい日本が交錯する明治20年代の風物や風習、人々の姿を鮮やかに描いた名著。
目次
東洋の土を踏んだ日
地蔵
盆踊り
神々の国の首都
杵築
加賀の潜戸
美保関にて
心中
八重垣神社
狐
日本の庭で
家庭の祭屋
さようなら
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
68
彼の文章は飽きない。叙述が、その前に観察がきめ細かい。 彼の生れや資質と題材(古き良き伝統や風習のまだ濃厚に残っていた明治の、それも松江という町)との相性がこの上なくマッチングして、彼の表現する意欲が結晶となった本と言える。 翻訳された本ではあるが、違和感なく読めた。2009/09/23
ひさしぶり
24
至極のスイーツを味わうような文章?この小国の道ゆく人や店に並ぶものは無論のこと無造作に包む紙の図柄まで眼にするものが魅力的。物売りの声や橋を渡る下駄の音や梵鐘の音。灰色の水墨画が彼の感性の中でオレンジや緑色に塗り替えられ無表情だった庭石らが言葉を発しているような顔つきとなる。日本の文化その他多岐にわたる探求並びに溺愛ぶりにこちらがたじろいでしまいます。『逝きし日本の面影』を読んだ時の感覚と同じ。旧習は滅び古い信仰は消えようとしている。今日の思想は明日の時代の思想たりえないーーだから沁みわたる名著だと思う。2023/01/31
冬見
19
「小さな妖精の国ーー人も物も、みな、小さく風変わりで神秘をたたえている。」旧い日本と新しい日本が交錯する明治20年代、出雲の松江という「神々の国の首都」での見聞記。みずみずしい感動が、まっすぐな視線と美しい色彩表現によって描かれている。彼には、こんなふうに世界が見えていたのだ。まぶしい。知らないはずの景色に郷愁を覚えたのは何故だろう。2017/02/07
まさにい
10
心がザラザラとしたときには、寝る前によく山本周五郎の短編や、藤沢周平の短編を読んでいた。この小泉八雲の本もその一冊に加えようと思う。明治時代の出雲の国の話で、僕はその当時のことについて、何にも知らないのだが、なぜか懐かしく感じてしまう。八雲の日本贔屓のせいもあるが、ここまで、仏教や神道に造詣が深いとは。とにかく、ザラついた気持ちが、解きほぐされていい眠りに就けるのですね。2017/03/14
大臣ぐサン
6
ラフカディオ・ハーンによる出雲に関するエッセイが中心。ハーンが日本を語る際は常に恋人ののろけ話を聞かされるようで気恥ずかしくなってしまうほどであるが、単なる異文化に触れた外国人の言ではもはやない。明治時代、かたや西洋化に猪突猛進する日本人の姿があり、かたや早くも日本文化の喪失を危惧する西洋人の姿がある。西洋化に行き詰った現代の日本人よ。今こそ八雲の言葉に耳を傾けてみよ。2018/12/12
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