内容説明
日本美術の「近代」は、西欧絵画との魂を揺さぶる出会いから始まった。洋画を拓いた由一、清輝。日本画の芳崖、大観、春草。また彼らとフェノロサ、天心との運命的な交錯…。近代美術の黎明からその展開期にかけての、伝統と革新のせめぎ合いの諸相を、本書は先駆者たちの内面に分け入り追究する。著者の卓越した眼力と厳しく鮮やかな論証に目を覚まされる、美術史学の真の名著をここに贈る…。
目次
高橋由一
高橋由一再編
黒田清輝
青木繁
狩野芳崖
フェノロサ
岡倉天心
横山大観
菱田春草
富岡鉄斎
藤島武二
山本芳翠
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
蛸
15
明治期に活躍した画家たちの作品には必然的に東洋と西洋の眼差しの交錯がその影を落としている。この本ではまさしく「二つの文明のぶつかるところ」が個人の画業に何をもたらしたのかが、資料や作品に対する誠実なアプローチによって解き明かされていく。それは例えば、高橋由一においては『花魁』という落とし子を生んだが黒田清輝に挫折を味わわせた。また海を隔てた日本から己の感覚を頼りに、西洋世紀末の感受性を取り入れた青木繁や藤島武二といった画家たちもいた。さまざまな画家の姿を通して「近代日本」というものの本質が見えてくる一冊。2019/01/28
奏市
9
こんなに面白い美術史の本を読んだのは初めて。明治、大正時代の日本の画家、美術家11人につき、それぞれ章を設けて記述してある。単に絵のことだけじゃなく、時代背景、人物の性格・エピソードを交えてあり、また各章でそれぞれ問題設定を立て、謎解きするような構成も面白さを感じた部分と思う。西洋か東洋か、線描か色彩か、古典か新規性か等様々な論点をそれぞれ信じるところを主張・実践し、批判・擁護するところが興味深い。師匠・弟子、先輩・後輩、仲間たちがそれぞれに影響を与え合っている。逍遥、鴎外、漱石らの批評もあって凄い時代。2025/08/31
ワンタン
4
高校生の頃から繰り返し読んでいる本。作品単位でなく、画家一人ごとの人物と画業について章だてて書いているので、主題が明確で分かりやすく面白い。2016/11/27
オパビニア
1
日本の近代絵画の重要人物についてオムニバス形式で、論じており、それぞれの創作あるいは思想の秘密を追う、ミステリー的な面白さがあった。 個人的に一番惹かれたのは富岡鉄斎だった。2024/06/15
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