内容説明
最近、日本においても中東との様々な関わりから、イスラームという宗教への関心が高まりつつある。ただ、その関心は表面的な次元に留り、イスラームはどうもよくわからないといわれている。本書はそのイスラーム特有の宗教の把え方、理解の仕方を探りながら、イスラーム理解の原典をなすコーランの独自な性格と内容をコーラン全体を貫くメインテーマに即して説明し、イスラームの現実主義的側面と内面性重視の側面を明らかにする。
目次
第1部 イスラームとは何か(なぜイスラームは日本人に理解しにくいか;現実主義の強調;内面性の重視)
第2部 コーランとは何か(コーランの独特な性格;唯一なる神;万有を創造する神;終末を惹き起こす神;最後の審判;神への怖れ;神への感謝;日々行なうべきこと)
第3部 コーランとイスラームの二面性(メッカ時代とメディナ時代;コーランの啓示の二面性)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
10
「罪深い人間は現世で様々な罪を犯し、悪を行なうのであるが、やがて世の終わりが来ると、裁きの座に引き出され、そこで神の怒りと罰を身に受けなければならない。ここに終末論的な激しい怖れの感情が起こる…メッカ時代において、イスラームの信仰は深刻な罪の意識に基く終末論的な怖れの感情に収斂するのである」「世界の諸民族には様々な創世神話があるが…世界を創造した神がその後も引続きこれを支配するとはか」ぎらない。「これに対し、コーランにおいては、世界を創造した神アッラーが終始一貫してこれを支配するのである」2018/06/01
まみよろ
4
イスラームにとりコーランはどういう意味合いを持つか、そしてイスラーム教とは何かを知る上では入門書的な内容であった。 入門書としてはおすすめ。詳しく知りたい人には内容が薄すぎるかも。 しかし、審判の日の描写は迫力がある。 神の前に自分一人が晒され、自分が忘れている過去の所業について知った時に初めて主観的な見方から脱却して客観的な見方ができるっていうのは深い。実に深い。2012/12/15
amanon
3
著者後書きでも述べられているとおり、ラジオ放送を元にしただけあって、非常にわかりやすく、なおかつ内容は濃い。それはともかくとして、これまで何冊かイスラム・アラブに関する書物を読んできたが、読めば読む程、彼らの思想に埋めようのない違和感を覚えたのだけれど本書を読んでも、その印象は変わらず。また、一クリスチャンとしては、ユダヤ教、キリスト教との関係性を有しながら、それと同時にどうしても超えられない一線を固辞するイスラム教のあり方に今更ながらに興味を覚えた。その互いに譲れない線をどう対処するかが問題か?2014/10/31
れうしあ
1
恥ずかしながらシーア派とスンナ派の教義の違いをよく理解していなかった。イスラームはユダヤ教やキリスト教と兄弟だという知識はあったが、実際に思想面で共通する点が非常に多いということが分かった。2017/09/03
とうくぼやかや
1
読みやすく、分かりやすい本だった。自分の中で、コーランの捉え方が変わったというか、分かったというか。2015/02/10