内容説明
『正法眼蔵随聞記』は生活の実際に即しながら、学道する人は如何にあるべきか、修行のやり方や心構えが懇切丁寧に説かれている。何よりも若き時代の道元が強烈な情熱と意志をもって自分の信ずる道を説いているので、無限の親しみと共感を覚える。2歳年上の弟子の懐奘も虚心坦懐に道元に質問しており、道元の答えをそのまま筆録したのがこの『随聞記』である。だからこそこの『随聞記』には人間道元の姿が滲みでている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっきー
7
✴2 人生はあっという間に過ぎ去るので時を惜しんで座禅せよ、夜の11時まで座禅して、朝の2時半に起きて座禅する、居眠りしたら履き物で気合い注入、この本の文章は分かりやすかったが何を求めてここまでやるかはこれが道の厳しさなんだろうがなかなか理解できない、修行でどんな風に物の見方が変わってくるのだろうか?今度は現代語訳にチャレンジしたい2017/12/13
runner M
4
要諦は、無常。 私にはこれがすべてを絡め取るもの(もの、ではないが落とし所として)と感じた。無常=移り変わるものばかりだから、何も拘る必要はないし、拘らなければ怖れも苦しみもない。 ただし…求めない、というのは少し理解できないところで、志は持ちたいと思う。それが、何においても明らめることができない原因かもしれないが。 ということを、数年ぶりにじっくり考えた。 また、坐禅に行こうと思う。会社でも言ってしまったし♪ 2016/04/12
amanon
3
今だったらパワハラだと糾弾されかねない、過酷を極めた禅 の修行で行われる制裁。もちろん中には例外もあったのだろうけれど、基本的に修行僧はその制裁を嬉々として受け入れたという。今日的な価値観とは相反する行為が一部の特殊な宗教の世界で行われるということをどう捉えるか?ということをふと考えた。また、本書で幾度となく繰り返される禅と身体との関係についても、そのような禅の在り方を、文字面だけを追って知るという行為の意味について、一抹の煩悶を覚える。今度は解説でなく、オリジナルの『随聞記』を紐解いてみようという気に。2021/05/12
nobito
1
正法眼蔵随聞記は僧のあるべき姿を著した物なので、一般人には適用し難い面があります。そこで外典等を援用しつつ、著者の解釈を通して一般人に適用できるようにした本。道元本人が見たら放りなげてしまうような内容に感じますが、偉人から実生活にも通じる助言を求めている人には受け入れられる気がします。 原文は一部のみ、訳も意訳のみですし、道元の言葉なのか著者の考えなのかの判別も曖昧な部分があるので、注意が必要です。 個人的には第9講「知性と宗教」は、私が言葉にできなかった漠然とした考えを文章にして下さり、感銘を受けました2018/11/15
池田 尊彦
1
峻烈な道元の生きざまは、凡人には理解し難いものがある。仏道のためには、父母を捨て、師を捨て、恩愛を捨てよと説く。道徳の枠に納まらないその信念は、世情の常識にも旧来の仏道修行にも捉われない確信があったことをこの本は繰り返し丁寧に解説してくれている。道元が到達した仏道の要以外のものを全て削ぎ落とした人間道元をテーマに書かれたこの本は、凡夫の常識を以って道元の著書を読んでも、理解できないどころか、誤解を招き、無意味なものになることを明らかにしている。自分の見識や感情を極力抑え込んで読まなければならなかったこの本2012/09/14