出版社内容情報
【内容紹介】
自分が言葉を所有している、と考えるから、われわれは言葉から締め出されてしまうのだ。そうではなくて、人間は言葉に所有されているのだと考えたほうが、事態に忠実な、現実的な考え方なのである。人間は、常住言葉によって所有されているからこそ、事物を見てただちに何ごとかを感じることができるのだ……。 いいかえれば、われわれの中に言葉があるが、そのわれわれは、言葉の中に包まれているのである。(著者「まえがき」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
魔魔男爵
2
詩論、小説論、美術論のエッセイだが、専門では無いと思われる美術論が特に素晴しかった。私は現代美術なんて芸術ではない、19世紀のゴヤまでで、全ての美術のイズムは揃った。ゴヤ以降はイラネ、という考えだが、大岡信は現代芸術は呪術物を造っていると見事に分析していて敬服した。クソ大江健三郎に対しても、大江君の小説はなんたらと上から目線で分析していて、遠回しに馬鹿にしていて溜飲が下がったw。麻薬を使用した人間の屑の角川春樹が句集で某賞を受賞した時も、大岡は断固反対したそうです。大岡信は素晴しいと理解出来ました。2017/02/23
ツナ子
2
詩人の書いた批評だからそう感じて当然かもしれないけど、文学の本質は小説よりも詩にあるんだと分かった。私は評論や小説はちょっとは読めてると思うけど、詩はまともに読んでこなくて、谷川俊太郎とか読んでも正直さっぱりで、でも詩はそもそも小説みたいに簡単に理解できるものじゃないんだね。もうちょっと言葉のつぶつぶを深く考えるのと、たくさん作品を読んで知識のストックをたくわえて、本質を理解できるように頑張る。2013/06/15
だんご貴子
1
2週間かけ読了! 大学の講義を思い出した。 んー大学の教授の方がもう少し易しい日本語だったような、、、 まぁ〜喋り言葉とは違うから難読な感じがしたのかもしれない。 大学の近代文学の詩人たちの講義を思い出し、言葉はその時代やその人の環境の鏡なんだということを再認識させられた。 もっともっとたくさんの子どもたちに良い言葉を浴びせられる私に成長したい。2022/07/18
he
1
日本語に関する預言書と言うべきか。数十年の月日を越えて、昨今の言語の在り方が的確に指摘されている。特筆すべきは「軽薄さ」と「言語恐慌」というキーワードの鋭さ。短期流行型の水泡のような言葉に囲まれた私たちの言語活動そのものではないだろうか。願わくは、著者のように平易でなお厚みを失わない言葉を身に付けたいものである。2014/05/13
Arowana
1
感動的。 「日常用いているありふれた言葉が、その組み合わせ方や、発せられる時と場合によって、とつぜんすごい力をもった言葉に変貌する。そこにこそ、「言葉の力」の変幻ただならぬあらわれがあり、そこにこそ言葉というものを用いることの不思議さ、恐ろしささえあるということだ。」「それは、ある心と別の心との間に、とつぜん新しい橋がかかることにほかならない。それが人を幸福にするかしないかは、いちがいに言えない問題だが、少なくともその瞬間、人は自分自身について、あるいは相手について、新しい発見をする。暗い部分に光がさしこ2012/05/25




