出版社内容情報
【内容紹介】
親鸞の思想に「近代」と「個」の救済を発見した明治の知識人の中でも、不安から覚醒への道すじを最も熾烈に歩んだのが暁烏敏であった。『歎異抄』が危険な書として封印された状態にあったのを、公開し、論求し、本願他力の大慈悲に誰しもがあずかりうるという確信を人々に与えた、その開示の書が『歎異抄講話』であった。この一冊が果した役割の大きさは、そのまま親鸞の思想の普遍的な「新しさ」と照合している。(松永伍一氏「まえがき」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
24
決して他人にはオススメできないけど、この本は凄い。仏教史的には、近代以降の歎異抄の再評価を決定づけた本で、当時の大ベストセラーだったそう。歎異抄の読解はさて置き、この本で圧巻なのは前半部にある「わたし語り」だ。「本書の著者は、傲慢な、横着な、名誉心の強い、しようのない男」と、徹底して自己卑下を貫くスタイルで、“カントもウパニシャッドも読んだけど、私にハマったのはこの1冊だけ”といった「わたし本位」の歎異抄が語られていく。書店に並ぶスピリチュアル系の本の語りの元をたどれば、この本なのでは、と思った次第。2016/08/09
Ribes triste
6
自分の精神修養のために。歎異抄の精読と講義。大作であり力作です。血肉の通う言葉が、心に力強く優しく響きます。2017/04/09
非実在の構想
4
熱烈な信仰の書。歎異抄に註釈をつけながら自らの信仰を獅子吼する。気取ったところがなく素直で清々しく感じる。ブラック暁烏敏になる前なので国粋的な主張は少ない。2018/10/27
サルミアッキー
4
前に読んだときはそこまで切羽詰まっていなかったので「ふーん」という感じだったが、自分の弱さやあさましさを強く自覚するようになった今改めてもう一度読んでみると以前よりも心に迫るものがあった。この本の著者の暁烏敏にとっても、更に親鸞や如信にとっても、煩悩というのは断ち難く、その点は程度の差こそあれ自分と変わらない。しかしそんな者たちでも決して見捨てない如来の御力は本当にありがたい。2017/07/10
katashin86
1
明治時代にあって「歎異抄」の再発見・再評価に火をつけた快著。強引な読解や著者・暁烏の自我的主張がそこかしこにあり、まずは歎異抄原典を読んだ後に読むべき本だが、近代個人主義のもとの浄土真宗・親鸞信仰の意義を考えるうえで必読。2021/01/15
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