出版社内容情報
【内容紹介】
『徒然草』は、巻頭以来、徐々に形式・内容両面で多彩さをきわ立たせて行く。本巻が扱う第47段から第111段にはその感がますます深い。否定の論理を展開する段、微苦笑を誘われるユーモラスな段など硬軟諸段に兼好の筆は冴えまさり、読む者の心を柔軟にほぐす。中には、兼好自身の恋愛体験にねざすらしい美文(第104・105段)もあり、その王朝物語的な淡いほのかな雰囲気は、兼好の抒情的な一面を映し出しているはずである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
13
「蟻のごとくに集まりて、東西に急ぎ、南北に走る。高きあり、賤きあり。老いたるあり、若きあり。・・・生をむさぼり、利を求めて止む時なし。」(第74段)夢を目指したり、希望を持ったり、苦しんだり、悩んだり、我々は毎日を頑張って生きているつもりなのだが、人間の生き様というものを眺めてみれば蟻が右往左往しているが如し。でも人間は死ぬんだよ、むなしくならないか、と兼好は書く。自己とか人間というものを客観視することができれば、世の中はまったく別の景色で見えてくる。悩んだり、自暴自棄になったりする必要はないのだ。2017/09/29
ヤベ
1
人間の意外な一側面を生々しく描き出したいときは説話風に、恋愛感情の機微が対象であれば王朝物スタイルで、というふうに、章の内容に相応しい語りの型が各々使われていると思った。複数人に書かれた草稿を一冊にまとめたものと言われても信じられるほどにその表現と対象は広く、そこに一貫する作者の主張や思考の癖は見出し難い。それは表面的にはまさにとりとめのない書きぶりの印象を与える。が、それらを遠景で見る時、各章は作者の広大な興味領域の点々であることに気づき、各章にはその章内の内容を超えた意味が読み取られはじめる。2024/09/27
Tonex
0
語釈や解説が詳しくて良い。『源氏物語』や『枕草子』など元ネタになった有名な古典も一通り読んでおきたくなる。2014/11/16
chikuy
0
2014/10/30
midorikawa-e
0
本文とは関係ないですが、語釈、現代語訳、解説、と堪能できました。学者というのはすごいものだなと。2014/05/12