講談社学術文庫<br> 雨ニモマケズ

講談社学術文庫
雨ニモマケズ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 143p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061583917
  • NDC分類 910.268

出版社内容情報

【内容紹介】
大宇宙の始原に舞う詩人賢治は、農民の友、法華信仰の人として、故郷(ふるさと)の土に殉じた。「雨ニモマケズ」はこの一生活者の、理想の世界に飛翔する姿だったろうか。賢治はその数年後、気候不順による稲作不良を心痛し、風雨の中を徹宵(てっしょう)東奔西走したという。以来胸の病の癒えることなく……サウイフモノニワタシハナリタイと謳って2年後、37歳で不帰の客となる。ここに「雨ニモマケズ」に結晶した彼の素朴な祈りを明かす名篇を贈る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gtn

6
著者は、宮沢賢治の精神と生活が四つの次元を持っていたといい、詩人、法華経の行者、農業技師、農民の友を頂点に持つ三角錐に例えているが、著者の云いに違和感がある。思うに、根本に法華経の行者としての賢治がおり、その行者がそれぞれとイコールの関係ではないのか。死ぬ間際まで、農民に肥料のアドバイスをした賢治。宗教即実践を最期まで体現したといえる。2018/10/23

うえ

5
「思想というものは、いつでも否定の働きを伴っていまして、否定の働きを伴っていないところに思想はないと言ってもよい…世間的な地位とか、栄誉とか…を人間の偉さの資格として考えることをいちおう肯定しながら、それをさらに否定するという、その思想の働きによって初めてそういう平凡人の道を本当の人間の道とすることが思想として確立される」「当時の日本は、ラフカディオ・ハーンが美しい日本として描いた仏教的民間信仰の世界と多く隔たっていなかった…こういう世界の中で…賢治は世の無常と仏の慈悲との深い感情を植えつけられた」2017/08/17

kiji

2
★3。「賢者の文学」という指摘が面白いと思いました。なるほど漱石を筆頭に芥川や川端や太宰などは書斎で苦悩する病める文学者といえるかもしれません。対して宮沢賢治は科学者であり宗教家であり農業実践者でもありました。賢者かどうかはさておき異彩を放つ存在であることは間違いありません2014/01/30

2
宮沢賢治に関する、著者の講演からの抜粋。講演の速記を基にしているから喋り言葉なのだが、何しろ昔の人の日本語は良い。著者が賢治から受けた感銘が、素直に伝わってくる。賢治の創作は、根源的なものを多く含む。つまり、詩や童話という文学的な形式を持っていても、それは哲学であり、宗教と質を同じくするものだ。なおかつ諸作品からは我を一要素とする大宇宙的な広がりも感じるが、「雨ニモマケズ」に見えるのは、それとは逆に全てのものを剥ぎ取った、小さないち人間としての賢治である。著者はそこに生前の賢治の最高到達点を見ているのだ。2011/04/02

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