出版社内容情報
【内容紹介】
「おごれる人も久しからず」と物語冒頭に語るように、権力を握り、専横を極めた平清盛の行動は、平氏一門の運命を栄華の座から、滅亡へと回転させた。『平家物語』はこの滅びの過程を、歴史的動乱の全体像として語り、その変革期に固有多様な行動的人間を登場させている。日本史上もっともあざやかな転換期の全容を語る叙事詩『平家物語』は中世を代表する古典であり、かつ民族的遺産として命長く読みつがれるであろう。(全12巻)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
60
12巻にも及ぶ『平家物語』の第1巻。見どころは、やはり「祇王」の話だろう。寵愛を失った祇王と仏御前の苦悩はなんともいえず哀れを誘うが、栄華の絶頂にあった祇王のあっという間の凋落は、平氏の未来を予言しているようで感慨深い。原文は、もともとが語りの文章なので、目だけで読むよりも声に出した方が分かりやすいし、文章の美しさを実感できる。また、現代語訳と注釈・解説付きで、歴史的背景などもよく分かって、興味深く読めた。2017/08/22
sine_wave
5
長い間本棚で眠っていた本書を取り出し読んでみた。全編を読むつもりはない。まあ、古文を勉強のつもりと、平家物語を数行しか知らないのは本読みとしては物足りないと思ったりしたということでしょうか。2021/04/29
猫森
4
こは、我がスルメ本(何度も何度も読み返す本)にとぞなりにける。2024/10/04
O. M.
4
原文、現代語訳、語釈、解説が塊ごとに並んでいるので、一般にも読みやすいし理解しやすいですね。本巻では「祇王」「二代后」といった女性たちの苦境の話が、個人的には味わい深かったです。また「俊寛沙汰 鵜川軍」以降のエピソードでは、当時の寺社勢力・信仰の現在とは比べ物にならない強さがあり、興味深く読みました。解説では、当時の他の歴史記録と並べての個々の事象・人物を検討しており、「平家物語」に脚色がかなり多く含まれていることも分かりました。2015/07/25
ターさん
2
思わず襟を正してしまう冒頭。物語の主題が、数行で言い表わされている。平家ばかりでなく、木曽の義仲、義経といったヒーローでさえ、「盛者必衰の理」なのだ。完全勝者である源氏でさえ、「唯春の夜の夢」であり、「風の前の塵」なのだ。高校時代、有名古典の冒頭を暗記させられたものだ。友人曰く「教育って凄い、今だに頭に入っている」勉強もしなかった私でさえも『徒然草』『方丈記』『枕草子』『源氏物語』『奥の細道』くらいは覚えている。友人に音読をすすめられ、琵琶法師気分でやってみるとなかなか良いものだ。物語は始まったばかりだ。2025/01/22